慢性静脈不全に運動療法はどの頻度と強度で処方するべきか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:慢性静脈不全に運動療法はどの頻度と強度で処方するべきか?
  • 英語タイトル:Frequency, intensity, time, and type prescription in exercise therapy for chronic venous insufficiency: A scoping review.

このテーマは、外来で「どのくらい、どれぐらいきつさで運動したらいいですか?」とよく聞かれる内容です。ここでは、専門的な医学用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえてお話しします。

目次

結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)

慢性静脈不全(chronic venous insufficiency:足の静脈の血液が心臓に戻りにくくなり、むくみやだるさ、こむら返りなどが続く状態)に対する運動療法について、FITT(フィット:Frequency, Intensity, Time, Typeの略で、運動の頻度・強度・時間・種類をまとめた考え方)の目安が整理されました。このFITTに沿って運動を行うことで、ふくらはぎの筋肉がポンプのように血液を押し上げる働き(ふくらはぎ筋ポンプ)を高め、症状や生活の質(QOL:Quality of Life、日常生活の快適さや満足度)を改善しうる、という内容です。

この結果は何を意味するのか

有酸素運動(aerobic exercise:ウォーキングや自転車こぎなど、ある程度長く続けられる息が弾む程度の運動)は、週に2〜3回を目安に行います。きつさはボルグスケール(Borg scale:自分の息苦しさやきつさを6〜20の数字で表す方法)で12〜16くらい、または最大心拍数(maximum heart rate:その人が出せる心拍数の上限)の40〜70%程度の強さで、1回20〜40分行うとされています。運動の種類としては、歩行(ウォーキング)、トレッドミル(treadmill:ベルトコンベアの上を歩く室内用の歩行器具)、自転車エルゴメータ(bicycle ergometer:室内用の自転車こぎマシン)などを使い、特にふくらはぎの筋肉をしっかり動かして、ふくらはぎ筋ポンプの働きをねらいます。

注意点・限界

レジスタンス運動(resistance exercise:筋力トレーニングのように、重りやゴムバンドなどに抵抗して筋肉に負荷をかける運動)は、週2回〜毎日までの範囲で行われていました。強さの目安は8〜12RM(Repetition Maximum:その重さで8〜12回が限界になるような重さ、という意味)で、1セットあたり10〜25回を2〜5セット行う方法です。セラバンド(TheraBand:伸びるゴムバンドのトレーニング用具)などを使って、太ももやふくらはぎなどの下肢筋群(足の筋肉の集まり)を、無理のない範囲で「しっかり疲れた」と感じるくらいまで動かすことがポイントとされています。

実際の診察ではどう考えるか

診察の場では、このFITT(頻度・強度・時間・種類)を、今お伝えしたような具体的な数字でお示ししながら、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」を組み合わせた基本セットとしてご説明します。そうすることで、患者さんご自身が運動の内容をイメージしやすくなり、続けやすさ(アドヒアランス:adherence、治療や運動をどれだけ守って続けられるか)や、ご自分で病気と付き合っていく力(セルフマネジメント:self-management)を高めることにつながると考えられています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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