この記事の要点
- 日本語タイトル:激しい運動後、冷水浴と全身クライオは筋肉痛と跳躍にどちらが有効か?
- 英語タイトル:Effects of cold water immersion vs body cryotherapy on delayed onset muscle soreness and jump performance following acute strenuous exercise in physically active participants: A systematic review and meta-analysis.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(けがや病気の後に行う機能回復のための治療)や整形外科(骨・関節・筋肉などを診る診療科)の診察の場面でもよく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、日常会話に近い形で説明していきます。
研究の背景・目的
激しい運動をしたあとには、少し時間がたってから出てくる筋肉痛(遅発性筋肉痛:Delayed Onset Muscle Soreness/運動の数時間〜数日後に出てくる筋肉痛)や、ジャンプ力などの運動パフォーマンスの低下が起こることがあります。
その対策として、冷たい水に体をつける方法(冷水浴:Cold Water Immersion/一定時間、冷たい水に入るケア方法)と、全身を短時間だけ非常に低い温度の空気にさらす方法(全身クライオ:Whole-Body Cryotherapy/専用の機械の中で全身を冷やす方法)が使われることがあります。
ただし、どちらの方法が筋肉痛を和らげたり、運動パフォーマンスを保ったりするのにより向いているのか、整理して比べた情報が必要な状況でした。
調査の方法(対象など)
この研究では、ふだんから運動習慣のある人(身体活動的な参加者:physically active participants/スポーツやトレーニングを定期的に行っている人)を対象にした研究を集めました。
冷水浴(Cold Water Immersion)と全身クライオ(Whole-Body Cryotherapy)を直接比べた「ランダム化比較試験:Randomized Controlled Trial/参加者をくじ引きのような方法でグループ分けして治療法を比べる研究」を集めて、その結果をまとめて分析する方法(システマティックレビュー:Systematic Review/一定のルールで論文を集めて整理する方法 と メタ解析:Meta-analysis/複数の研究結果を統計的にまとめて一つの結論を出す方法)で調べています。
研究の結果
冷水浴(Cold Water Immersion)は、運動してから24時間後に出てくる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness)を、全身クライオ(Whole-Body Cryotherapy)よりも弱める方向に働いていました。
一方で、ジャンプの高さなどでみた運動パフォーマンスについては、運動後24時間の時点では全身クライオのほうがわずかに有利な結果でしたが、その差は大きいものではなく、48時間後になると両者の違いははっきりしない状況でした。
結論:今回の研究でわかったこと
今回まとめられた研究からは、運動後24時間以内の遅発性筋肉痛をやわらげる目的では、冷水浴(Cold Water Immersion)のほうが全身クライオ(Whole-Body Cryotherapy)より有利と考えられる結果でした。
一方で、ジャンプ力などの運動パフォーマンスについては、全身クライオが一時的に少し良い可能性はありますが、その差は小さい可能性があり、長くは続かないと考えられる内容でした。
実際の診察ではどう考えるか
診察の場面で考えると、強い筋肉痛をできるだけ早い時期におさえたい場合には、冷水浴(Cold Water Immersion)を優先して検討する選択肢になります。
一方で、短い時間だけでもジャンプ力などのパフォーマンスを保ちたい、という目的がある場合には、全身クライオ(Whole-Body Cryotherapy)を、その補助的な手段のひとつとして位置づけて考えることになります。
参考文献
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Effects of cold water immersion vs body cryotherapy on delayed onset muscle soreness and jump performance following acute strenuous exercise in physically active participants: A systematic review and meta-analysis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41578562/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。
















