この記事の要点
- 日本語タイトル:スマホ歩数アプリと行動変容テクニックは歩数を増やすか?
- 英語タイトル:Effects of Using a Smartphone App Combined With Behavior Change Techniques on the Level of Physical Activity Among Adults and Older Adults: Sequential Multiple Assignment Randomized Trial.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(Rehabilitation、けがや病気のあとの機能回復を目指す治療)や整形外科(Orthopedics、骨・関節・筋肉など運動器の病気を扱う診療科)の外来で、よく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつどかみくだいて説明していきますので、気楽に読んでみてください。
研究の背景・目的
運動不足は、変形性関節症(Osteoarthritis、関節の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)や腰痛(Low back pain、腰の痛みを主な症状とする状態)などの整形外科の病気にとって、将来の経過(予後)に関わると考えられています。
最近は、スマートフォンアプリ(Smartphone application、スマホに入れて使うソフト)で歩数を記録する方が増えていますが、アプリだけに頼ると、続けるのがむずかしいことも多いとされています。
そこでこの研究では、「行動変容テクニック(Behavior change techniques、行動を変えて続けやすくするための工夫や方法)」を歩数アプリに組み合わせると、運動量がどのくらい増えるのかを確かめることを目的としました。
調査の方法(対象など)
この研究では、成人から高齢者までの53人を対象にしました。
参加者を3つのグループに分けて、24週間(約6か月)にわたって介入(Intervention、何らかの方法を実際に行って、その影響をみること)を行いました。
1つ目のグループは「教育情報のみ群」で、運動に関する情報提供だけを受けました。
2つ目のグループは「アプリ+個別メッセージ群」で、スマホの歩数アプリに加えて、個別メッセージ(Personalized message、一人ひとりの状況に合わせたメッセージ)を受け取りました。
3つ目のグループは「アプリ+個別メッセージ+ゲーミフィケーション(Gamification、ゲーム化)群」で、さらにゲーミフィケーションと呼ばれる仕組みを使いました。ゲーミフィケーションとは、ゲームのように目標達成やポイント、ランキングなどの要素を取り入れて、楽しみながら続けやすくする工夫のことです。
研究の結果
スマホの歩数アプリに個別メッセージを組み合わせた「アプリ+個別メッセージ群」では、フォローアップ(Follow-up、一定期間がたったあとに状態を確認すること)の時点で、1日あたりの歩数が平均で約2,000歩増えていました。
また、この介入に反応して歩数が増えた人たち(レスポンダー、Responder:介入の効果がみられた人)では、6週目から12週目にかけて、さらに歩数が増える傾向がみられました。
全体としてみると、座位時間(Sedentary time、座っている・横になっているなど、ほとんど体を動かしていない時間)も減っていた、という結果でした。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究から、スマホの歩数アプリに、目標設定(Goal setting、1日の歩数目標などを決めること)やランキング(Ranking、他の人との比較や順位づけ)といった行動変容テクニックを加えると、1日あたりの歩数が平均で約2,000歩増える可能性があると考えられました。
あわせて、座位時間、つまり長く座りっぱなし・動かない時間が減る可能性も示されています。
実際の診察ではどう考えるか
外来診療の場では、スマホの歩数アプリに、目標設定やランキングなどの行動変容テクニックを組み合わせることが、患者さんの活動量を増やすための、具体的な支援のひとつの方法になりうると考えられます。
患者さんごとに合った目標や続け方を一緒に相談しながら、こうした仕組みを活用していくことが、日常生活での運動量アップを後押しする戦略になりえます。
参考文献
-
Effects of Using a Smartphone App Combined With Behavior Change Techniques on the Level of Physical Activity Among Adults and Older Adults: Sequential Multiple Assignment Randomized Trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41616115/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。
















