この記事の要点
- 日本語タイトル:ACL再建と膝OAリハでRPEはどこまで信頼できるか?
- 英語タイトル:How is the rating of perceived effort reported in anterior cruciate ligament and knee osteoarthritis rehabilitation studies? A scoping review.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になるテーマです。
専門的な話も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえてお伝えします。
研究の背景・目的
「ACL(Anterior Cruciate Ligament、前十字靱帯)」は、膝の中で太ももの骨とすねの骨をつないでいる靱帯で、膝の安定に大切な組織です。
「膝OA(knee Osteoarthritis、変形性膝関節症)」は、膝の関節の軟骨がすり減って痛みや変形が出てくる病気です。
これらの方のリハビリでは、筋力トレーニングの強さを決めるときに「RPE(Rating of Perceived Effort、主観的努力度)」という指標がよく使われます。
RPEとは、「今どれくらいきついと感じているか」を患者さんご自身に数字で表してもらう方法です。
ただし、このRPEは、どう説明するか(言葉の使い方)や、体のどの部分のきつさを聞くか(膝だけなのか、全身なのか)によって、出てくる数字が変わる可能性があります。
この研究では、ACL再建手術後や膝の変形性関節症のリハビリの研究で、RPEがどのように説明・記録されているかを整理することを目的としました。
調査の方法(対象など)
ACL再建手術を受けた方と、膝の変形性関節症の方を対象とした研究の中から、脚の筋力トレーニング(下肢レジスタンス運動)でRPEを使っているものを調べました。
ここでいうレジスタンス運動とは、重りやマシン、自重などを使って筋肉に負荷をかけるトレーニングのことです。
RPEを、トレーニングの強さを決めるため(負荷処方)や、運動中のきつさを確認するため(モニタリング)に使っていた介入研究を47本選び出しました。
そして、それぞれの研究で、RPEに関してどのような項目が書かれているか、また書かれていないかを整理しました。
研究の結果
多くの研究では、どの種類のRPEスケールを使ったか(例:数字の範囲など)や、RPEを表すときの用語、運動の強さ(運動強度)については、はっきりと書かれていました。
一方で、RPEを使う前に患者さんに練習してもらったかどうか、
「アンカリング(anchoring)」といって、「これくらいが最大のきつさです」「これくらいが楽な状態です」といった基準をあらかじめ示したかどうか、
どのような説明をしたのか、
膝などの一部のきつさ(局所)を聞いたのか、体全体のきつさ(全身)を聞いたのか、
運動のどのタイミングでRPEを測ったのか(測定タイミング)
といった点については、詳しい記載が少ない研究が多いという結果でした。
結論:今回の研究でわかったこと
ACL再建手術後や膝の変形性関節症のリハビリに関する研究では、RPEの使い方や報告の仕方にばらつきがあることがわかりました。
そのため、実際の診療の場では、RPEを使うときに、事前の練習やアンカリングなどを補うことで、同じ条件で測りやすくし、結果の再現性(同じような状況で同じような結果が出ること)を高めていく必要があると考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
RPEを使ってトレーニングの強さを決めるときには、いくつかの点をあらかじめ自分の中で統一しておくことが大切です。
具体的には、RPEの数字のつけ方を事前に一緒に練習しておくこと、アンカリングで「これが一番きつい状態」「これがとても楽な状態」といった基準を共有しておくこと、
膝などの一部のきつさを聞くのか、体全体のきつさを聞くのかをはっきりさせること、
そして、運動のどのタイミングでRPEを聞くかを決めておくことです。
こうした点をそろえることで、毎回のRPEの数字がより比べやすくなり、リハビリの調整にも役立てやすくなると考えられます。
参考文献
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How is the rating of perceived effort reported in anterior cruciate ligament and knee osteoarthritis rehabilitation studies? A scoping review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41742778/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


















