この記事の要点
- 日本語タイトル:ACL再建術後リハビリの推奨介入とは?
- 英語タイトル:ACL rehabilitation after reconstruction: Evidence-based consensus recommendations from the German Knee Society-Part IV.
ここで扱うテーマは、リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になる内容です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、日常のことばで説明していきます。
研究の背景・目的
「ACL(Anterior Cruciate Ligament:前十字靱帯)」は、ひざの中で太ももの骨とすねの骨をつないで、ひざのぐらつきをおさえる大事な靱帯です。
スポーツや転倒などでACLが切れてしまうと、「ACL再建術(さいけんじゅつ:切れた靱帯の代わりに新しい靱帯を作って入れ直す手術)」を行うことがあります。
ところが、この手術のあとに行うリハビリテーション(機能回復のための訓練)の内容や、どれくらいの期間続けるかについては、医療機関や担当者によってやり方にばらつきがあります。
この研究では、今までに発表された最新の医学的なデータを整理し、どのような種類のリハビリを、どのくらいの強さ・期間で行うのがよさそうかについて、専門家同士で話し合って意見をまとめた報告になります。
調査の方法(対象など)
ACL再建術を受けた患者さんの「術後リハビリテーション」に関する29個のテーマを取り上げて調べています。
まず、世界中の医学論文を系統的に集めて評価する「系統的レビュー(systematic review:一定のルールにそって文献を集め、質を評価する方法)」を行いました。
そのうえで、「修正Delphi法(デンフィ法:複数の専門家に何度かアンケートを行い、意見がまとまるまで繰り返す方法)」という手法を使い、ひざの専門家たちが話し合いながら「エキスパートコンセンサス(専門家の合意)」を作り上げています。
研究の結果
29個のテーマのうち、25個(全体の86%)については、専門家のあいだで意見がまとまりました。
その中で、手術後の「早期荷重(そうきかじゅう:比較的早い時期から、手術した足に体重をかけていくこと)」については、エビデンス(医学的な根拠)の確実性は中等度(B2)と評価されましたが、安全に機能を回復させるうえで有利と考えられました。
また、「9か月以上リハビリを続けること」については、より高い確実性のエビデンス(A1)に基づき、最適な回復を目指すうえで有利とされています。
結論:今回の研究でわかったこと
ACL再建術のあとのリハビリテーションは、少なくとも9か月以上は続けることがすすめられています。
その際には、早い時期からの荷重(早期荷重)、筋力や関節の動きを回復させるための運動療法(うんどうりょうほう:筋トレや可動域訓練など)、神経筋トレーニング(しんけいきんトレーニング:バランス感覚や反応の速さなどを鍛える訓練)、冷却(アイシング:冷やして腫れや痛みをおさえる方法)などを、組み合わせて行うことが推奨されています。
実際の診察ではどう考えるか
この報告は、「レベルV」と呼ばれる種類のエビデンスで、専門家の意見をまとめたコンセンサス(合意)にあたります。
そのため、一部の推奨内容は、エビデンスの確実性が中等度以下の研究結果にもとづいている点に注意が必要です。
実際の診察では、こうした専門家の意見を参考にしつつも、患者さん一人ひとりのケガの状態や生活スタイルに合わせて、主治医と相談しながらリハビリの内容やペースを決めていくことが大切になります。
参考文献
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ACL rehabilitation after reconstruction: Evidence-based consensus recommendations from the German Knee Society-Part IV.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42549304/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


