この記事の要点
- 日本語タイトル:足関節捻挫から復帰したcopersのスクワット動作は同じか?
- 英語タイトル:Altered kinematics and muscle activities during half squats in people with ankle sprain history.
ここでは、足首のねんざ(足関節捻挫:そくかんせつねんざ)のあとに、スポーツや日常生活に戻った方の動き方についてお話しします。
リハビリテーション(機能回復のための訓練)や整形外科の外来で、よく話題になる内容です。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつど「英語の正式名称」と「日本語での意味」をできるだけわかりやすく説明していきます。
研究の背景・目的
足首のねんざ(足関節捻挫:そくかんせつねんざ)のあとに、
・ねんざが再発していない
・足首のぐらつきや不安定な感じがない
・スポーツや日常生活に問題なく戻れている
こういった方を、この研究では「copers(コーパーズ)」と呼んでいます。
copersとは、英語の「cope(コープ:うまく対処する)」からきた言葉で、「けがをしたあとも、うまく体を使って対応できている人たち」という意味合いです。
この研究では、そのcopersの方たちが、足や脚(下肢:かし)をどのような動かし方の工夫(運動戦略)でカバーしているのか、その特徴に注目して調べています。
調査の方法(対象など)
この研究は「横断研究(cross-sectional study:ある時点で集団を比較する研究)」という方法で行われ、さらに「二次解析(secondary analysis:すでに集められているデータを別の視点で分析し直すこと)」も行っています。
対象は、若くて日常的に運動量の多い成人(若年活動的成人)で、
・足首のねんざから復帰したcopers 10人
・足首のねんざをしたことがない人(対照群:たいしょうぐん)10人
この2つのグループを比べています。
研究の結果
「ハーフスクワット(half squat:しゃがみ込みの途中まで行うスクワット動作)」という動きをしてもらったところ、copersの方は、ねんざ歴のない対照群と比べて、次のような違いがみられました。
まず、「大腿回旋角度(だいたいかいせんかくど:太ももが内側・外側にねじれる角度)」が小さい(低い)傾向がありました。
また、筋肉の働き方(筋活動)をみると、
・大腿二頭筋長頭(だいたいにとうきんちょうとう:太ももの裏側にある筋肉で、膝を曲げたり股関節を伸ばしたりする筋肉)
・大腿直筋(だいたいちょっきん:太ももの前側にある筋肉で、膝を伸ばしたり股関節を曲げたりする筋肉)
・前脛骨筋(ぜんけいこつきん:すねの前側にある筋肉で、足首を上に反らせる筋肉)
これらの筋肉の活動が、対照群よりも低い(少ない)傾向がありました。
一方で、「平均足部角度(へいきんそくぶかくど:足の向きや傾きの角度の平均)」は、copersの方が高い(大きい)という結果でした。
これに対して、「歩行(gait:歩く動作)」のときには、大きな違いはほとんど見られず、「立脚期平均下腿角度(りっきゃくきへいきんかたいかくど:足が地面について体重を支えている時間帯における、すねの角度の平均)」だけが2つのグループで異なっていました。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究から、copersの方は、ハーフスクワットという特定の動きをするときに、
・太もものねじれ方(大腿回旋角度)が小さくなる
・特定の筋肉(大腿二頭筋長頭・大腿直筋・前脛骨筋)の働きが少なくなる
・足の向きや傾きの角度(足部角度)が大きくなる
といった、特徴的な動き方の工夫(課題依存的運動戦略:特定の動作のときだけ現れる動かし方のパターン)をとっている可能性が示されています。
実際の診察ではどう考えるか
copersの方のように、足首のねんざからうまく復帰している人でも、体の使い方の変化は、「どんな動きをするか」によって出たり出なかったりする、いわゆる「課題依存的(task-dependent:動作の種類に依存する)」なものかもしれません。
この研究では、ふつうの平らな道を歩く動作(平地歩行)よりも、ハーフスクワットのような少し負荷のかかる動きのほうが、その違いがはっきりしていました。
そのため、足首のねんざ後の診察やリハビリでは、歩き方だけでなく、スクワット動作の評価も行うことが大切だと考えられます。
参考文献
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Altered kinematics and muscle activities during half squats in people with ankle sprain history.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42594125/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

