この記事の要点
- 日本語タイトル:PCL再建術後アクアセラピー併用リハの可能性は?
- 英語タイトル:Integrated rehabilitation incorporating aquatic therapy following posterior cruciate ligament reconstruction: a case report.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく問題になるテーマです。
できるだけ専門用語をかみくだいて、日常のことばでお話ししていきます。
研究の背景・目的
PCL(Posterior Cruciate Ligament:後十字靱帯〈こうじゅうじじんたい〉)という、膝の奥で太ももの骨とすねの骨をつないでいる靱帯があります。
このPCLを再建する手術のあとには、太ももの前の筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の働きが弱くなりやすく、また膝の関節にかかる負担が大きくなりやすいことが問題になります。
そのため、手術後のリハビリテーション(機能回復のための訓練)がスムーズに進みにくい状況になりやすい、という背景があります。
調査の方法(対象など)
この報告は「症例報告」といって、1人の患者さんの経過を詳しくまとめたものです。
対象は51歳の女性で、右膝のPCL裂離骨折(れつりこっせつ:靱帯が骨ごとはがれるように折れるけが)に対して、関節鏡下再建術(かんせつきょうかさいけんじゅつ:小さなカメラと器具を使って行う膝の靱帯再建手術)を受けた方です。
手術から4週後の時点から、4週間にわたって、水の中で行うリハビリ(アクアセラピー、水中リハビリ)と、床の上などで行う通常のリハビリ(陸上リハビリ)を組み合わせて実施しました。
研究の結果
4週間のリハビリのあと、膝を曲げる動き(膝屈曲:しっくつ)の可動域(ROM:Range of Motion、関節をどこまで動かせるかの範囲)は35度分広がり、もともとの想定可動域に対して41.2%分改善しました。
膝を伸ばす動き(膝伸展:しんてん)は、まっすぐに伸ばせる状態(完全伸展)まで回復しました。
太ももの前の筋肉である大腿四頭筋の筋力は、もとの状態と比べて75.8%増加しました。
SEBT(Star Excursion Balance Test:片脚立ちで手を伸ばす距離を測るバランステスト)のリーチ距離は、22〜25cm伸び、もとの距離と比べて42〜49%増加しました。
結論:今回の研究でわかったこと
PCL再建術後4週の女性1人に対して、4週間の集中的なリハビリを行ったところ、膝の可動域(どこまで曲げ伸ばしできるか)、筋力、動的バランス(動きながら姿勢を保つ力)、そしてKOOS(Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score:膝の痛みや機能、生活のしやすさなどを患者さん自身に評価してもらう質問票)が、医療現場で意味があると考えられる程度まで改善した、という内容の症例報告です。
実際の診察ではどう考えるか
この報告は、1人の患者さんだけを対象にし、しかも4週間という短い期間の結果なので、そのまま多くの患者さん全体にあてはめて考えるのはむずかしいです。
それでも、PCL再建手術の比較的早い時期からアクアセラピー(水中リハビリ)を取り入れることは、膝にかかる体重の負担をおさえながら、可動域・筋力・バランスの改善をねらう一つの方法になりうる、という考え方につながる内容といえます。
参考文献
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Integrated rehabilitation incorporating aquatic therapy following posterior cruciate ligament reconstruction: a case report.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42601229/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

