この記事の要点
- 日本語タイトル:筋骨格系疾患にFSWTとRPWTはどちらが有効か?
- 英語タイトル:Focused shock wave versus radial pressure wave therapy for musculoskeletal disorders: A systematic review and meta-analysis.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション科や整形外科の外来でよく話題になる治療法についてです。
専門的な内容も出てきますが、できるだけ日常の診察でお話しするような、わかりやすい言葉で説明していきます。
研究の背景・目的
FSWT(Focused Shock Wave Therapy:集束型体外衝撃波治療)は、体の外から「衝撃波」と呼ばれる強い音のエネルギーを一点に集めて当てる治療です。
RPWT(Radial Pressure Wave Therapy:拡散型圧力波治療)は、同じように体の外からエネルギーを当てますが、FSWTのように一点に集めず、表面から広がるように伝わるタイプの治療です。
どちらも、筋肉・骨・関節・腱・靱帯などの不調をまとめて指す「筋骨格系疾患(musculoskeletal disorders)」の治療に使われていますが、
痛み(疼痛)をどれくらい減らせるか、動きやすさ・使いやすさ(機能)をどれくらい良くできるかについて、どちらがより優れているのかははっきりしていませんでした。
そこで、この研究では、FSWTとRPWTを比べて、痛みや機能の面でどちらがより良いのかを整理して調べることを目的としました。
調査の方法(対象など)
筋骨格系疾患の患者さん合計1030人を対象とした、ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:治療法をくじ引きのように無作為に割り振って比べる研究)21本をまとめて検討した研究です。
このように、複数の研究を集めて、決まった方法で評価・統合するやり方を「システマティックレビュー(systematic review:系統的文献レビュー)」と呼びます。
研究の結果
痛みの強さと、体の動きや使いやすさといった機能については、どの時期(治療直後、少し時間がたった時期など)を見ても、FSWTとRPWTのあいだに統計的に意味のある差はみられませんでした。
一方で、短い期間でみた握力(手で物をつかむ力)については、FSWTのほうがやや良いという結果でした(MD=3.09;95%信頼区間:0.31〜5.88)。
また、「外側上顆炎(lateral epicondylitis:いわゆるテニス肘で、肘の外側の腱が痛くなる病気)」の患者さんに限って、中期の手関節伸筋力(手首を反らす筋肉の力)を調べたところ、RPWTのほうがやや良いという結果でした(MD=-2.39;95%信頼区間:-4.34〜-0.44)。
ここで出てくるMD(Mean Difference:平均値の差)や95%信頼区間は、2つの治療の差がどのくらいありそうかを統計的に表した数値です。
結論:今回の研究でわかったこと
21件のランダム化比較試験、合計1030人分のデータをまとめて検討した結果、痛み、体の機能、関節の動く範囲(ROM:Range of Motion)については、FSWTとRPWTのあいだに統計的に意味のある差はみられませんでした。
握力や手首を反らす筋肉の力に関しては、FSWTやRPWTがそれぞれ少し有利とみえる結果もありましたが、これらは「非常に確実とはいえない〜あまり確実とはいえない」レベルの証拠にとどまると評価されています。
そのため、現時点では、どちらがはっきり優れているとまでは言えない状況と整理されています。
実際の診察ではどう考えるか
今回まとめられた全体の研究結果は、「エビデンスの確実性(evidence certainty:どれくらい信頼できる結果かの評価)」が、全体として「非常に低い〜低い」と判断されています。
つまり、研究の数がまだ多くなく、1つ1つの研究の規模も大きくないため、今後の研究で結果が変わる可能性がある段階の情報という位置づけです。
そのため、FSWTやRPWTのどちらか一方を強くおすすめできるというよりは、現時点では「限られた、規模の小さい研究から得られた、探索的な(仮の)結果」として参考にする程度にとどまると考えられます。
参考文献
-
Focused shock wave versus radial pressure wave therapy for musculoskeletal disorders: A systematic review and meta-analysis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42610838/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

