関節リウマチ患者に対し、病院での高強度インターバルトレーニングは運動継続の動機づけとなるか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:関節リウマチ患者に対し、病院での高強度インターバルトレーニングは運動継続の動機づけとなるか?
  • 英語タイトル:Experiences of supervised high-intensity interval training-a motivator for exercise maintenance among patients with rheumatoid arthritis: a qualitative interview study.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーション科や整形外科の外来で、関節リウマチの方に運動をおすすめするときによく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつど「英語の正式名称」と「日本語での意味」を説明しながら、できるだけ日常会話に近い言葉でお話ししていきます。

目次

結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)

この研究では、病院で専門職が見守りながら行う「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training:高い強さの運動と休憩をくり返すトレーニング)」について調べました。
その結果、多くの関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:免疫の異常が原因で、関節に炎症や痛みが続く病気)の患者さんは、この運動を「きついけれど、効果を実感できて、長く続けていきたい治療の一つ」と受け止めていました。
運動プログラムが終わったあとも、「これからも運動を続けてみよう」という前向きな気持ちが育っている様子がうかがえました。
一方で、「自分には続けるのがむずかしいかもしれない」と感じる方もいて、理学療法士(Physical Therapist:運動や動作の専門職)など医療スタッフによる継続的なサポートが大切だと考えられる内容でした。

この結果は何を意味するのか

この研究に参加したのは、関節リウマチの患者さん20人(うち女性16人)です。
みなさんは、病院で専門職の監修のもと、「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training:短い時間のきつめの運動と休憩をくり返す方法)」を12週間続けました。
多くの方が、この運動を「かなりきついけれど、自分でもなんとかこなせるレベル」と感じていました。
また、「心肺フィットネス(Cardiorespiratory Fitness:心臓や肺の持久力・スタミナのこと)がよくなった気がする」といった、自分の体力の変化をはっきり自覚している人もいました。
つまり、関節リウマチがあっても、条件を整えれば、ある程度きつめの運動でも「自分に合ったチャレンジ」として受け止められる可能性がある、ということを示す結果でした。

注意点・限界

この研究では、運動を「一人で黙々と行う」のではなく、「グループで一緒に行う」形をとっていました。
同じ関節リウマチの患者さん同士で運動することで、「自分だけじゃない」という仲間意識が生まれ、運動を始めるときの心理的なハードルが下がっていたと考えられます。
さらに、「病院」という多くの方にとって安心しやすい場所で行い、理学療法士(Physical Therapist:運動の専門職)がそばで見守りながら強さを調整していたため、「このくらいの強さなら安全だろう」という自信につながっていました。
そのうえで、「体力がついてきた」「症状が少し楽になった気がする」といった体の変化を感じたことで、「運動は自分にとっての治療の一部なんだ」という意識が強まっていったとされています。
ただし、この結果は、あくまでこうした条件(グループ、病院という場、専門職の監修)がそろった状況での話であり、すべての環境やすべての患者さんにそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要です。

実際の診察ではどう考えるか

診察の場で「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training:強めの運動と休憩をくり返す方法)」をおすすめする場合、単に運動メニューだけをお渡しするのでは十分とは言えない可能性があります。
この研究の内容からは、
・同じ病気を持つ人たちと一緒に取り組めるグループ環境
・患者さんが「ここなら安全だ」と感じやすい病院などの場所
・理学療法士(Physical Therapist)などによる、定期的なチェックと声かけ
といった要素を組み合わせることで、関節リウマチの患者さんにとって「運動=一時的なリハビリ」ではなく、「運動=生涯にわたる治療の一部」として位置づけやすくなる可能性が示されています。
実際の診療では、患者さん一人ひとりの体調や関節の状態、生活スタイルをふまえながら、こうした環境づくりも含めて一緒に考えていくことが大切だと考えられます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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