この記事の要点
- 日本語タイトル:腰部脊柱管狭窄症でプレガバリンとリマプロストはどちらを選択すべきか?
- 英語タイトル:Use of pregabalin and limaprost in the conservative treatment of lumbar spinal stenosis: a systematic review of the current evidence.
このテーマは、リハビリテーション科や整形外科の外来で、よく話題になる内容です。
ここでは、できるだけ専門用語をかみくだいて、日常の診察でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
「腰部脊柱管狭窄症(ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう:lumbar spinal stenosis)」は、腰の背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなる病気で、高齢の方に多くみられます。主な症状は、歩きにくさ(歩行障害)と、腰から足にかけての痛みやしびれです。
手術をしない治療(保存療法)の一つとして、「プレガバリン(pregabalin:神経の興奮をおさえて神経障害性疼痛〈しびれや焼けるような痛みなど、神経の障害が原因の痛み〉を和らげる薬)」と、「リマプロスト(limaprost:プロスタグランジンE1〈PGE1〉製剤で、血流をよくして神経の血行障害による症状を和らげることを目的とした薬)」が使われています。
ただし、この2つの薬について、「どちらのほうがよく効くのか」「どちらがより安全なのか」といった点を、同じ条件でしっかり比べた研究は、まだ十分とはいえません。そこで、この研究では、両方の薬の効果(有効性)と副作用(安全性)を比較することを目的としました。
調査の方法(対象など)
2000年から2025年までに発表された研究を対象に、「PRISMA(プリズマ:Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses、系統的レビューとメタ解析のための国際的な報告ガイドライン)」という決められた手順に沿って、医学論文データベースを検索しました。
その中から、「腰部脊柱管狭窄症の患者さん」を対象として、「プレガバリン」または「リマプロスト」を使った研究のうち、「RCT(ランダム化比較試験:患者さんを無作為にグループ分けして薬を比べる研究)」と「コホート研究(cohort study:ある集団を一定期間追いかけて、治療と結果の関係をみる観察研究)」を選び出して、まとめて検討しました。
研究の結果
2つの薬を直接比べた研究では、「痛み」や「日常生活の動きやすさ(機能)」について、どちらか一方がはっきり優れているという差はみられませんでした。どちらの薬を使っても、治療を始める前(ベースライン)と比べると、痛みや機能は良くなる傾向がありました。
一方で、「プレガバリン」を使ったグループでは、「有害事象(ゆうがいじしょう:眠気、ふらつき、むくみなどの副作用の総称)」が多いという結果がみられました。
「リマプロスト」については、薬だけを単独で使った場合の効果は、研究によってばらつきがありましたが、他の治療と一緒に使う「併用療法(へいようりょうほう)」では、痛みや機能の面で有意な改善(統計学的に意味のある差)が出る傾向が報告されていました。
結論:今回の研究でわかったこと
今回まとめられた研究の範囲では、「プレガバリン」と「リマプロスト」は、どちらも腰部脊柱管狭窄症による痛みや日常生活の動きやすさを改善する可能性があると考えられます。
ただし、2つの薬を直接比べた場合、「どちらが明らかに優れている」とまではいえない結果でした。そのため、薬を選ぶときには、「副作用の出やすさ」や「薬にかかる費用(コスト)」などを総合的に考えることが大切だとされています。
実際の診察ではどう考えるか
診察の場では、現時点の研究結果から、「プレガバリン」と「リマプロスト」の効果は、おおまかには同じくらいと考えて対応することが多いです。
そのうえで、「副作用の出やすさ」「ふらつきなどによる転倒のリスク」「薬の値段(薬剤コスト)」「すでに飲んでいる他の薬との飲み合わせ(併用薬)」といった点を一人ひとり確認しながら、その方にとってバランスのよい薬を選んでいくことが重要になります。
参考文献
-
Use of pregabalin and limaprost in the conservative treatment of lumbar spinal stenosis: a systematic review of the current evidence.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41546687/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。
















