高齢者リハではICFのどの要素が自立度とQOL改善に最も寄与するか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:高齢者リハではICFのどの要素が自立度とQOL改善に最も寄与するか?
  • 英語タイトル:Rehabilitation outcomes of older persons within the context of the International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF): a systematic review.

ここで取り上げる内容は、高齢の方のリハビリテーション(rehabilitation、機能回復のための訓練)や、整形外科の診療でよく問題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、普段の外来でお話しするような形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

世界的に高齢化が進み、病気やけがの急性期治療が一段落したあとの時期(ポストアキュート期)に行う高齢者向けリハビリテーションのニーズが増えています。
その一方で、ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health、国際生活機能分類)という、からだの状態や生活のしやすさを整理する国際的な枠組みに沿って、「どの要素がリハビリの結果とどのように関係しているのか」が、十分に整理されていない状況があります。
この研究では、その整理がどこまで進んでいるかを確認することが目的とされています。

調査の方法(対象など)

対象となったのは、平均または中央値の年齢が70歳以上で、ポストアキュート期にリハビリテーションを受けている高齢の方です。
これらの方について、ICF(国際生活機能分類)に結びつけて整理された健康データと、自立度(日常生活をどの程度自分でこなせるか)やQOL(Quality of Life、生活の質)などの結果が報告されている研究を集めました。
最終的に、7つの研究、合計896名分のデータをまとめて調べる「系統的レビュー(systematic review、一定の基準で文献を集めて評価する方法)」が行われました。
それぞれの研究の質は、MINORS(Methodological Index for Non-Randomized Studies、無作為化されていない臨床研究の質を評価する指標)という評価方法を使ってチェックされています。

研究の結果

ICF(国際生活機能分類)の中で、「心身機能(からだやこころの機能)」と「活動・参加(日常生活の動作や社会参加のしやすさ)」に関する項目は、機能的自立度(どれくらい自分で動けるか・生活できるか)やQOL(生活の質)の改善と、全体として一貫して関係していると報告されています。
また、「環境因子(住んでいる場所のバリアフリーの状況、家族の支援、福祉サービスなど周りの環境)」も、リハビリの結果に影響しているとされていますが、これについて詳しく検討している研究はまだ限られています。
さらに、「個人因子(性格、これまでの生活歴、やる気など個人の背景)」は、ICFの公式なコードの対象外であるため、報告が少ない状況です。
全体として、心身機能と活動・参加の状態を組み合わせたプロフィールが、臨床でのリハビリの結果と最も結びついているとされています。

結論:今回の研究でわかったこと

高齢の方のリハビリテーションでは、ICF(国際生活機能分類)の中でも「心身機能」と「活動・参加」の状態が、自立度とQOL(生活の質)の改善と強く関係していると報告されています。
また、「環境因子(住環境や支援体制など)」も、一定の影響を与えているとされています。
そのため、これらの要素をばらばらではなく、まとめて(統合的に)評価し、それぞれに応じた介入(リハビリ内容や環境調整など)を考えていく必要があると結論づけられています。

実際の診察ではどう考えるか

外来や入院で高齢の方のリハビリを考えるときには、まず「心身機能(筋力、バランス、認知機能など)」と「活動・参加(歩く、着替える、家事をする、社会とのつながりなど)」を中心に状態を整理します。
そのうえで、「環境因子(家の段差、手すりの有無、家族のサポート、利用できるサービスなど)」もICF(国際生活機能分類)の考え方に沿って一緒に考えます。
こうした整理をもとに、退院後や通院後の生活で、どの程度自立して過ごせるか、どのようにQOL(生活の質)を保ち、少しでも改善を目指せるかを見据えて、評価とリハビリの内容を組み立てていくことが大切とされています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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