この記事の要点
- 日本語タイトル:エリート選手のリスフラン損傷は術後いつ競技復帰可能か?
- 英語タイトル:Return to sport following Lisfranc injuries in elite athletes-2024 international foot and ankle sports consensus and systematic review.
このテーマは、リハビリテーション(Rehabilitation、けがや病気のあとに行う機能回復のための訓練)や整形外科(Orthopedics、骨・関節・筋肉・靱帯など運動器を専門にみる診療科)の外来で、よく問題になる内容です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、日常のことばでお話ししていきます。
研究の背景・目的
リスフラン損傷(Lisfranc injury、中足部の骨と骨をつなぐ関節と靱帯の損傷)は、一般の方にはあまり多くないけがですが、エリートアスリートでは競技人生に大きく影響しうる重い足のけがとされています。手術のあと、どのくらいの時期からどのようにフォローしていくか、いつスポーツに復帰してよいかについては、これまで主に担当医それぞれの経験に頼って決められており、方針にかなりばらつきがありました。
調査の方法(対象など)
スポーツが原因で起こったリスフラン損傷の手術後の管理について、過去の研究をまとめて調べる「系統的レビュー(Systematic review、一定のルールで文献を集めて整理・分析する方法)」を行いました。そのうえで、足のスポーツ障害を専門とする整形外科医を世界中から集めた国際エキスパートパネル(International expert panel、専門家グループ)をつくり、意見をすり合わせて共通の見解(コンセンサス)をまとめました。合意の程度は、修正Delphi法(Modified Delphi method、複数回にわたり匿名で意見を集め、だんだん意見を近づけていく評価方法)という手法を使って評価しました。
研究の結果
系統的レビューの結果、靱帯性損傷(Ligamentous injury、骨折を伴わず主に靱帯が切れたり伸びたりしたタイプ)では、体重をかけ始める時期は平均で術後3.5週ごろ、スポーツ復帰は平均で術後8.9か月ごろと報告されていました。骨性損傷(Bony injury、骨折を伴うタイプ)では、部分的に体重をかけ始める時期は平均で術後4.5週ごろ、ORIF(Open Reduction and Internal Fixation、観血的整復内固定術:皮膚を切開して骨を正しい位置に戻し、金属などで固定する手術)のあと、スポーツ復帰(RTS:Return to Sport、スポーツ復帰)の中央値は8週とされていました。専門家のコンセンサスでは、手術後4〜6か月でスポーツ復帰が可能と考える、という点について全員の意見が一致しました。
結論:今回の研究でわかったこと
エリート選手のリスフラン損傷では、手術後8〜12週ごろに全荷重(Full weight bearing、片足立ちも含めてしっかり体重をかけて歩くこと)を目指し、4〜6か月ごろに競技復帰を検討する、という流れが国際的な標準的目安として示されました。リハビリテーションは、痛みや腫れ、筋力、バランスなどを見ながら段階的に進めることが大切で、競技レベル(プロかアマチュアか、ポジションなど)や損傷のタイプ(靱帯性か骨性か)に合わせて、細かく調整していく必要があるとされています。
実際の診察ではどう考えるか
この研究で示されたエビデンス(Evidence、科学的根拠)と専門家のコンセンサスをふまえると、「手術後8〜12週で全荷重」「4〜6か月でスポーツ復帰」という時期がひとつの目安になります。ただし、実際の診察では、関節の不安定性(Joint instability、関節がぐらつきやすい状態)や痛みの程度、行っている競技の特性(急な方向転換が多いスポーツか、接触プレーが多いかなど)を丁寧に評価し、その人ごとに復帰のタイミングを判断していくことになります。
参考文献
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Return to sport following Lisfranc injuries in elite athletes-2024 international foot and ankle sports consensus and systematic review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41582692/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。
















