アスリートは薬に頼らずテストステロンをどこまで高められるか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:アスリートは薬に頼らずテストステロンをどこまで高められるか?
  • 英語タイトル:Testosterone-Optimizing Strategies in Athletes.

このテーマは、リハビリテーションや整形外科の外来で、スポーツをしている方を診るときによく話題になる内容です。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえて、ゆっくり説明していきます。

目次

研究の背景・目的

テストステロン(Testosterone、男性ホルモンの一種)は、筋肉を太くする「筋肥大」や骨をつくる「骨形成」、血液中の赤血球を増やす「赤血球産生」に関わるホルモンです。また、攻撃的な気持ちやリスクをとる行動(リスクテイク)にも影響するとされていて、アスリートの競技力と密接に関係していると考えられています。

調査の方法(対象など)

スポーツ医学(Sports Medicine、運動やスポーツに関わる医学分野)と内分泌学(Endocrinology、ホルモンの働きを扱う医学分野)のデータベースを使って調べた「ナラティブレビュー(Narrative Review、複数の研究結果をまとめて全体像を整理する方法)」です。栄養、サプリメント(Supplement、栄養補助食品)、睡眠、運動のやり方、環境要因、市販の痛み止めなどと、テストステロンの変化との関係を整理しました。

研究の結果

エネルギー不足(食事量や摂取カロリーが足りない状態)や睡眠不足、冷水浴(Cold Water Immersion、冷たい水に浸かるリカバリー方法)、長期間にわたるNSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs、非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニンなどの痛み止め)の使用は、テストステロンの低下と関係していました。一方で、適切な強さと回数で行うレジスタンス運動(Resistance Training、筋トレのように負荷をかける運動)は、テストステロンを一時的に上げることが示されました。

結論:今回の研究でわかったこと

エネルギー(十分な食事やカロリー)、睡眠、運動の内容、環境をうまく整えることで、テストステロンの低下をある程度防げる可能性があると考えられました。一方で、行き過ぎた食事制限や過度なトレーニング、市販薬を含む薬剤の使い方、環境の影響などは、テストステロンを下げてしまう要因になる可能性があるとされています。

実際の診察ではどう考えるか

診察の場では、まずは生活習慣(食事・睡眠)とトレーニングの組み立て方を見直して整えることを優先します。そのうえで、サプリメントや薬を使う場合には、効果だけでなく副作用などのリスクも含めて慎重に検討し、あくまで補助的な位置づけで使うように考えます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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