この記事の要点
- 日本語タイトル:腰痛ロボットリハは筋状態に応じ個別最適化すべきか?
- 英語タイトル:Personalized Robotic Lumbar Rehabilitation Based on Medical-Imaging-Assisted Musculoskeletal Biomechanical Modeling.
ここで取り上げる内容は、腰痛のリハビリテーションや整形外科の診察でよく問題になるテーマです。専門的な話も出てきますが、できるだけ日常の診察でお話しするような、わかりやすい言葉で説明していきます。
研究の背景・目的
腰痛のある方では、背骨のすぐ横にある「傍脊柱筋(ぼうせきちゅうきん)」という筋肉がやせ細ったり、脂肪に置き換わったりする「筋変性」がよくみられます。こうした筋肉の状態の違いを無視して、ロボットを使ったリハビリで一律に同じ強さの負荷をかけてしまうと、その人にとっては強すぎて負担になったり、逆に弱すぎて十分な刺激にならなかったりする可能性があります。そのため、画像検査の情報をもとに、一人ひとりの筋肉の状態に合わせてロボット訓練の内容を設計する必要性が指摘されています。
調査の方法(対象など)
この研究では、少ない撮影枚数で行う「スパースMRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)」という撮影方法から得られた画像を使いました。これに「Bayesian fusion(ベイズ的融合)」という統計学の手法を組み合わせて、傍脊柱筋の立体的な形(3次元形状)を再構築しました。さらに、「PCSA(Physiological Cross-Sectional Area、生理学的断面積)」という筋肉がどれくらい力を出せるかの目安となる断面積と、筋肉の中にどの程度脂肪が入り込んでいるかを示す「脂肪浸潤率」の情報を使って、筋肉と骨格の動きを計算できる「筋骨格モデル」を作成しました。
研究の結果
この方法で筋肉を再現したところ、「Dice similarity(ダイス類似度)」という一致度を表す指標で90%という精度で、筋肉の形を再構築できました。また、この筋骨格モデルを使って一人ひとりに合わせてロボット訓練の戦略を決めると、従来の経験に基づいて大まかに設定していた方法と比べて、筋肉の働き方のばらつきをおよそ60%減らすことができました。さらに、目標としていた筋肉の活動量とのずれ(誤差)も4%以内におさえることができました。
結論:今回の研究でわかったこと
MRI(磁気共鳴画像)から作った筋骨格モデルを使うことで、傍脊柱筋にかかる負荷を調整しやすくなり、筋肉の活動のばらつきや目標からの誤差を小さくできる可能性が示されました。このことから、ロボットを使った腰のリハビリでも、一人ひとりに合わせて訓練内容を調整する方法が有用であることが示唆されています。
実際の診察ではどう考えるか
腰痛のリハビリを考えるときには、MRI検査で傍脊柱筋の状態を確認し、筋肉の量(PCSA、生理学的断面積)や脂肪がどの程度入り込んでいるか(脂肪浸潤率)を参考にしながら、どの方向にどのくらいの強さで動かすかといった運動の方向や負荷を調整する考え方が大切になります。こうした工夫が、安全で、かつその人に合った効果的な個別リハビリにつながると考えられます。
参考文献
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Personalized Robotic Lumbar Rehabilitation Based on Medical-Imaging-Assisted Musculoskeletal Biomechanical Modeling.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41666078/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

















