この記事の要点
- 日本語タイトル:脊髄損傷リハにキネシオテーピングは有効か?
- 英語タイトル:Kinesio Taping in spinal cord injury rehabilitation: A scoping review.
このテーマは、リハビリテーション(Rehabilitation、機能回復のための訓練や治療)や整形外科の診療で、実際によく話題になる内容です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の外来でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
キネシオテーピング(Kinesio Taping、伸縮性のある専用テープを皮膚に貼って筋肉や関節の動きをサポートする方法)は、整形外科やスポーツの分野では広く使われています。一方で、脊髄損傷(Spinal Cord Injury、背骨の中を通る神経が傷つくことで、手足のまひや感覚の障害などが起こる病気)の患者さんに対して、痙縮(Spasticity、筋肉がつっぱってこわばりやすくなる状態)や体幹バランス(座ったり立ったりするときの上半身の安定性)、手や指の細かい動き、褥瘡(じょくそう、長時間同じ姿勢でいることでできる床ずれ)にどのくらい効果があるのかは、これまで十分には調べられていませんでした。
調査の方法(対象など)
MEDLINE(メドライン)、PubMed(パブメド)、Cochrane CENTRAL(コクラン・セントラル)といった医学論文のデータベースを使い、2000年以降に発表された研究を調べました。その中から、脊髄損傷の患者さんを対象にキネシオテーピングを行い、その結果としてどのような臨床的アウトカム(Clinical Outcome、痙縮の程度やバランス、手の機能、褥瘡の状態など、治療の効果を数字や評価で表したもの)を報告しているかを確認し、条件に合う研究を集めました。最終的に、4本の論文が検討対象として採用されました。
研究の結果
採用された4本の論文のうち、3本はランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial、ランダムにグループ分けをして、治療を受けるグループと受けないグループを比べる質の高い研究方法)でした。これらの研究では、従来行われているリハビリにキネシオテーピングを追加すると、痙縮や姿勢制御(Postural Control、姿勢を保ったり安定させたりする力)、手指機能(手や指の動きや使いやすさ)、褥瘡に関係する指標が、短い期間の中では良くなる傾向が示されていました。ただし、どの研究も参加した患者さんの人数が少なく、結果も研究ごとにばらつきがあり、一致しているとは言えない状況でした。
結論:今回の研究でわかったこと
脊髄損傷の患者さんに対するキネシオテーピングは、痙縮や姿勢制御などを短い期間で改善する可能性があると考えられます。ただし、これまでの研究は規模が小さく、研究の質もそろっていないため、現時点では従来のリハビリテーションに「補助的に併用する方法」として位置づけておくのが妥当と考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
脊髄損傷のリハビリテーションでキネシオテーピングを使う場合は、あくまで今まで行っているリハビリの補助として考えるのが現実的です。個々の患者さんごとに、痙縮の程度やバランスの評価などの指標をきちんと確認しながら、短期的な効果を見極めていくことが大切です。また、「これだけで大きく良くなる」といった過度な期待は控え、慎重に取り入れていく姿勢が重要と考えられます。
参考文献
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Kinesio Taping in spinal cord injury rehabilitation: A scoping review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41677377/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

















