運動器リハは環境にやさしく痛みと機能に効くか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:運動器リハは環境にやさしく痛みと機能に効くか?
  • 英語タイトル:Environmentally Sustainable Approaches to Musculoskeletal Rehabilitation: An Umbrella Review of Practices With Potential Carbon Efficiency.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来で、日ごろからよく出てくる話題です。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、日常会話に近い形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

医療全体が出している二酸化炭素(CO2)の量は、世界のCO2排出量の約4〜5%を占めているとされています。整形外科やリハビリテーションの分野も、その一部になっています。通院のための移動、入院期間が長くなること、非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:痛みや炎症を抑える飲み薬や貼り薬の総称、略してNSAIDs)の使用などが、医療にかかる「炭素コスト(二酸化炭素排出に関わる負担)」を高める要因と考えられています。そこで、テレリハビリテーション(Tele-rehabilitation:オンラインやビデオ通話などを使った遠隔リハビリ)、プレハビリテーション(Prehabilitation:手術前から行う準備的なリハビリ)、自己管理支援(Self-management support:患者さん自身が症状や生活をコントロールできるように支える取り組み)、グループ運動(Group exercise:複数人で行う運動プログラム)など、比較的CO2排出が少ないと考えられる選択肢を整理して検討しました。

調査の方法(対象など)

対象となったのは、18歳以上で、けが(外傷)が原因ではない運動器疾患(Musculoskeletal disorders:関節・筋肉・骨・腱など、体を動かす器官に関わる病気や痛み)を持つ方たちです。調査では、テレリハビリテーション、プレハビリテーション、自己管理支援、運動療法(Exercise therapy:運動を使った治療)と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、グループ運動の5つの分野を含むシステマティックレビュー(Systematic review:過去の研究を体系的に集めてまとめた研究)を探しました。そして、痛み、体の機能、医療の利用状況、生活の質(Quality of Life:QOL、生活の満足度や過ごしやすさ)などを評価している研究をまとめるアンブレラレビュー(Umbrella review:複数のシステマティックレビューをさらに統合して全体像を整理する研究手法)として行われました。

研究の結果

テレリハビリテーションは、対面で行うリハビリと比べて、痛みや体の機能の改善が同じくらいの水準で得られている一方で、通院のための移動を減らせる可能性が示されました。プレハビリテーションは、手術後の入院日数を短くする方向に働く傾向がみられました。運動療法は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と同じくらい痛みなどに効果がある一方で、副作用などの有害事象が少ないとされました。自己管理支援やグループ運動は、効果の大きさとしては小〜中等度とされていますが、必要な資源が比較的少なくて済むことから、二酸化炭素排出の少ない選択肢として有望と考えられました。

結論:今回の研究でわかったこと

テレリハビリテーションやプレハビリテーション、運動療法を中心とした理学療法(Physical therapy:運動や物理的な手段を使ったリハビリ)は、痛みや体の機能、入院期間などを改善しながら、通院の移動、入院期間、薬の使用量を減らせる可能性がある「低炭素リハビリテーション(環境への負担が比較的少ないリハビリ)」の候補と考えられました。また、これらを対面での診療やリハビリと組み合わせて使っていくことが、実際の医療現場での運用のポイントになるとされています。

実際の診察ではどう考えるか

実際の診療では、テレリハビリテーションと対面でのリハビリを組み合わせた「ハイブリッド」の形をとったり、痛み止めとして非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使う前に、運動療法や自己管理の工夫を優先して検討したりすることが考えられます。さらに、手術前からのプレハビリテーションと、グループ運動を組み合わせることで、患者さんの症状や生活の質をできるだけ良くしながら、同時に環境への配慮も行っていくという戦略が、現実的な選択肢の一つとして示されています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

Yoリハビリ整形外科

名古屋市昭和区・かわな公園前

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