この記事の要点
- 日本語タイトル:膝OAの運動療法はテレリハと対面で効果に差があるか?
- 英語タイトル:An assessor-blinded randomized controlled trial comparing a tele-rehabilitation program with wearable technology to conventional face-to-face physiotherapy in patients with knee osteoarthritis.
ここでは、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう:膝の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)のリハビリについてのお話をします。
ふだん整形外科やリハビリの外来でよく話題になる内容を、専門用語もできるだけかみくだいて説明していきます。
研究の背景・目的
変形性膝関節症の方では、まず最初に行う治療として運動療法(Exercise Therapy:筋力トレーニングやストレッチなどのリハビリ)がすすめられることが多いです。ただ、通院の回数が多くなりやすく、「病院まで通うのが大変」ということが治療を続けるうえでの大きな負担になる場合があります。そこで、ビデオ通話を使った遠隔リハビリ(Tele-rehabilitation:自宅などからオンラインで受けるリハビリ)と、体の動きを記録するウェアラブルセンサー(Wearable Sensor:腕時計型など身につけて使う小型の計測機器)を組み合わせた方法が、通院して行う従来のリハビリと比べてどのくらい効果があるのかを確かめる必要がある、という考えからこの研究が行われました。
調査の方法(対象など)
X線検査(X-ray:レントゲン検査)で変形性膝関節症と診断された35名の方を対象にしました。参加された方を、コンピューターを使った無作為割付(Randomization:くじ引きのように偶然でグループを分ける方法)で、テレリハとウェアラブルセンサーを組み合わせたグループ16名と、病院での対面リハビリを受けるグループ19名の2つに分けました。両方のグループとも、内容は同じ運動プログラムを12週間続けてもらい、その後、最長で6か月間、経過を追って変化を調べました。
研究の結果
痛みの強さは、Numeric Pain Rating Scale(ニューメリック・ペイン・レーティング・スケール:0~10の数字で痛みの強さを自己申告する数値的疼痛評価尺度)という方法で評価しました。日常生活で「自分が特に困っている動作」がどのくらいできるようになったかは、Patient-Specific Functional Scale(ペイシェント・スペシフィック・ファンクショナル・スケール:患者特異的機能尺度)という、患者さん自身が重要だと思う動作のしやすさを点数化する方法で調べました。また、下肢の筋力や立ち上がる力は、30秒椅子立ち上がりテスト(30-Second Chair Stand Test:30秒間に椅子から何回立ち上がれるかを測るテスト)で評価しました。これらの指標は、テレリハのグループ、対面リハビリのグループのどちらでも統計学的に有意な改善がみられましたが、2つのグループのあいだで効果の差は認められませんでした。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究の結果から、変形性膝関節症に対するウェアラブルセンサーを活用したテレリハは、痛みの軽減、日常生活での動きやすさ、筋力の改善といった点で、対面で行うリハビリとおおむね同じ程度の効果を示す可能性があると考えられました。
実際の診察ではどう考えるか
通院することが難しい変形性膝関節症の患者さんに対しては、今回のような研究で示されたデータ(エビデンス:科学的根拠)をふまえると、テレリハを対面リハビリと並ぶ一つの選択肢としてお示しすることには一定の意味があると考えられます。
参考文献
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An assessor-blinded randomized controlled trial comparing a tele-rehabilitation program with wearable technology to conventional face-to-face physiotherapy in patients with knee osteoarthritis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41723580/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


















