変形性膝関節症の運動療法はオンラインでも対面と同等に効くか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:変形性膝関節症の運動療法はオンラインでも対面と同等に効くか?
  • 英語タイトル:An assessor-blinded randomized controlled trial comparing a tele-rehabilitation program with wearable technology to conventional face-to-face physiotherapy in patients with knee osteoarthritis.

ここでは、変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis、膝の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)のリハビリについてのお話をします。
ふだん整形外科やリハビリテーション科の外来でよく話題になる内容です。
専門用語はできるだけかみくだいて説明しますので、気楽に読んでみてください。

目次

研究の背景・目的

変形性膝関節症の方には、運動療法(Exercise Therapy、筋力トレーニングやストレッチなどの運動を使った治療)が、世界的にも日本でも基本的な治療として勧められています。
ただ、実際には「病院や施設まで通う時間がない」「仕事が忙しい」「感染症の流行が心配で、人が多いところに行きたくない」といった理由で、対面でのリハビリ(Face-to-face Rehabilitation、理学療法士と直接会って行うリハビリ)を続けるのがむずかしい方も少なくありません。
そこで、自宅などからオンラインで行うリハビリ、いわゆるテレリハビリテーション(Tele-rehabilitation、ビデオ通話などを使った遠隔リハビリ)が、対面のリハビリと比べてどのくらい効果があるのかを確かめることが、この研究の大きな課題になっていました。

調査の方法(対象など)

この研究では、X線検査(レントゲン検査)で変形性膝関節症と診断された35人の方を対象にしました。
参加された方を、コンピューターを使ってランダム(無作為)に2つのグループに分けました。1つはテレリハビリを受けるグループ、もう1つは対面でリハビリを受けるグループです。
研究の形は「評価者盲検RCT(Randomized Controlled Trial、ランダム化比較試験)」という方法で行われました。これは、
・ランダム化:どちらのグループに入るかをくじ引きのように決める方法
・比較試験:2つの治療法を比べる方法
・評価者盲検:結果を評価する人には、どちらの治療を受けたかを知らせない方法
を組み合わせたもので、治療効果をできるだけ公平に比べるための一般的なやり方です。
両方のグループとも、内容が同じ運動プログラムを12週間続け、その効果を比べました。

研究の結果

痛みや生活のしやすさなどを、いくつかの評価方法で調べました。
・Numeric Pain Rating Scale(NPRS、痛みの数値評価スケール):0~10の数字で痛みの強さを自己申告してもらう方法
・Patient-Specific Functional Scale(PSFS、日常生活機能の自己評価):患者さんご自身が「困っている動作」を挙げ、その動作がどのくらいできるかを点数で評価する方法
・KOOS(Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score、膝障害・変形性膝関節症評価):膝の痛み、こわばり、日常生活動作、スポーツ・レクリエーション、膝に対する生活の質などを質問票で評価する方法
これらの指標で、テレリハビリのグループも、対面リハビリのグループも、どちらも「統計学的に意味のある改善(有意な改善)」が見られました。
そして、2つのグループの間で、どちらが明らかに優れているという差は認められませんでした。

結論:今回の研究でわかったこと

変形性膝関節症の患者さんでは、ウェアラブルセンサー(Wearable Sensor、体に装着して動きや姿勢を測定する小型機器)を使ったテレリハビリは、対面で行う理学療法(Physiotherapy、理学療法士が行う運動療法など)と比べて、痛み・日常生活の機能・筋力の改善の程度が、おおむね同じくらいであると示されました。
そのため、通院がむずかしい方にとっては、対面でのリハビリの代わりになり得る選択肢のひとつと考えられる結果でした。

実際の診察ではどう考えるか

実際の診察では、通院が難しい変形性膝関節症の患者さんに対して、ウェアラブルセンサーを使ったテレリハビリを、対面での理学療法と同じような選択肢のひとつとしてお話しできる可能性があります。
一方で、患者さんごとに、膝の状態や病気の重さ(重症度)、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器をどの程度使いこなせるかといった点を、個別に確認しながら、どの方法がその方に合っているかを一緒に考えていくことが大切になります。


参考文献

  • An assessor-blinded randomized controlled trial comparing a tele-rehabilitation program with wearable technology to conventional face-to-face physiotherapy in patients with knee osteoarthritis.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41723580/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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