この記事の要点
- 日本語タイトル:変形性膝関節症にゲーム型VRリハ追加は有効か?
- 英語タイトル:Evaluating the Impact of 6-Week Gamified Virtual Reality Rehabilitation Program on Pain, Function, and Balance in Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial.
ここでは、膝の変形による痛みの病気「変形性膝関節症(へんけいせい ひざかんせつしょう:Knee Osteoarthritis)」のリハビリについてお話しします。
ふだん整形外科やリハビリの外来でよく問題になるテーマで、できるだけ専門用語をかみくだいて説明していきます。
研究の背景・目的
変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis)は、膝の関節の軟骨がすり減っていく病気で、膝の痛みや歩きにくさが出やすくなります。
治療の基本は「運動療法(Exercise Therapy:筋力トレーニングやストレッチなどの運動を使った治療)」とされていますが、実際には「痛くて動きたくない」「同じ運動ばかりでつまらない」と感じてしまい、続けられない方も少なくありません。
この研究では、そういった続けにくさを減らす工夫として、ゲームの要素を取り入れた「バーチャルリアリティ(Virtual Reality:仮想現実、以下VR)」を使ったリハビリを追加することで、痛みや歩く力の改善にどのくらい役立つかを調べることを目的としています。
調査の方法(対象など)
変形性膝関節症の患者さん90人を対象にしました。
参加された方をくじ引きのような方法で2つのグループに分ける「無作為割り付け(Randomization:偏りを減らすための分け方)」を行い、
一方のグループには、通常の理学療法(Physical Therapy:専門職による運動や物理的な治療)に加えて、頭にゴーグルをつけて映像の世界に入り込む「没入型VR(Immersive VR)」を使ったゲーム形式のリハビリを行いました。
もう一方のグループは、通常の理学療法だけを行いました。
この2つのグループで、6週間のリハビリを行ったあとに、どのくらい効果に違いが出るかを比べて調べました。
研究の結果
効果の評価には、いくつかの指標を使いました。
まず「疼痛(Pain:患者さんが感じる痛みの強さ)」、それから「6分間歩行距離(Six-Minute Walk Test:6分間でどれだけの距離を歩けるかをみる検査)」を測定しました。
さらに「WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index:変形性関節症の痛み・こわばり・日常生活動作のしやすさを患者さん自身に評価してもらう質問票)」や、立ったりバランスをとったりする能力を示す「バランス指標(Balance Measures)」も用いて評価しました。
その結果、特に痛みの軽減、歩く力(歩行能力)、そして患者さん自身による膝の機能の自己評価の面で、VRを併用したグループのほうが、通常の理学療法だけのグループよりも大きな改善がみられました。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究から、6週間にわたってゲームの要素を取り入れたVRリハビリを、通常の理学療法に追加すると、痛みや歩く力、膝の機能が、通常の理学療法だけの場合よりも、よりはっきりと良くなる可能性が示されています。
あくまで「その可能性がある」という段階ですが、VRを組み合わせることが一つの有望な方法として考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
変形性膝関節症の患者さんの中には、「痛いから運動したくない」「リハビリが単調で続かない」と感じて、運動療法を避けがちになる方がいます。
今回のようなゲーム型VRを組み合わせたリハビリは、楽しさや達成感を感じやすくすることで、「やってみよう」「続けてみよう」という気持ちを引き出すきっかけになりうると考えられます。
その結果として、運動を続けやすくなり、痛みや歩く力などの治療成績(アウトカム:治療の結果として得られる状態)が良くなる可能性があり、選択肢の一つとして検討される方法といえます。
参考文献
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Evaluating the Impact of 6-Week Gamified Virtual Reality Rehabilitation Program on Pain, Function, and Balance in Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41742680/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


















