義足MPKリハではアウトカムデータはどれほど収集活用されているか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:義足MPKリハではアウトカムデータはどれほど収集活用されているか?
  • 英語タイトル:A national survey to explore clinical data and outcome measure collection, storage, and use, within prosthetic rehabilitation services during implementation of the National Health Service England microprocessor controlled prosthetic knee clinical commissioning policy.

ここで取り上げるのは、義足のリハビリテーション、とくに「マイクロプロセッサー制御膝(microprocessor controlled prosthetic knee:コンピューター制御の義足の膝関節)」を使ったリハビリに関する話題です。
ふだんリハビリ科や整形外科の診察でよく出てくる内容ですが、専門用語はできるだけかみくだいてお話しします。

目次

研究の背景・目的

マイクロプロセッサー制御膝(microprocessor controlled prosthetic knee:コンピューターで膝の動きを調整するタイプの義足)を使ったリハビリ(以下、義足MPKリハ)では、日ごろから診療情報や「アウトカム指標(outcome measure:リハビリの成果を数値などで評価するもの)」が集められています。
ただし、イングランド全体で見たときに、「どの医療施設が」「どんな項目を」「どれくらいの頻度で」「どんな方法で」集めて、それをどう活用しているのかという実際の姿は、これまでよく分かっていませんでした。
そこで、イングランドの国民保健サービス(National Health Service England:イングランドの公的医療制度、以下NHS England)が進めている政策のもとで、義足MPKリハに関するデータの集め方や使い方の現状を把握する必要がある、という問題意識からこの研究が行われました。

調査の方法(対象など)

イングランドにある義足リハビリテーション施設35か所すべてを対象に、「オンラインサーベイ(online survey:インターネットを使ったアンケート調査)」を送りました。
アンケートでは、患者さんに関する21項目のデータと、リハビリの成果をみる「コアアウトカム(core outcome:特に重要と考えられている代表的な評価項目)」6項目について、
・それぞれの項目を実際にどのくらい集めているか(収集状況)
・どんなやり方で評価しているか(評価方法や点数のつけ方)
・集めたデータを施設の中でどうまとめているか(データ集約)
・そのデータを何の目的で使っているか(たとえば診療の見直し、研究など)
といった点を、施設ごとに答えてもらい、その結果を解析しました。

研究の結果

患者さんに関する21項目のうち20項目は、全体としてみると80%を超える施設で集められていました。
また、コアアウトカム6項目のうち5項目は、90%を超える施設で集められており、どの施設でもかなり高い頻度でデータが取得されている状況でした。
一方で、同じ項目を評価していても、「どのような評価方法を使うか」や「どうスコア(score:点数)をつけるか」については、施設ごとに違いがあり、ばらつきがみられました。
さらに、全体の41%の施設では、集めたデータを施設内でまとめて整理する「データ集約」を行っておらず、そのため全国レベルでの比較や、研究への活用には支障がある状況であることが分かりました。

結論:今回の研究でわかったこと

義足MPKリハを行っている施設では、患者さんの基本的な情報やリハビリの成果を示すアウトカムは、全体としては高い頻度で集められていました。
その一方で、「どの方法で評価するか」「集めたデータをどうまとめるか」といった点については、共通のやり方(標準化)がまだ十分ではありませんでした。
この結果から、義足MPKリハの現場では、「何を」「どのような方法で」測定して、「どのように蓄積し」「どのような判断(意思決定)に使うのか」について、関係する人たちの間で話し合い、共通の考え方を持つことが大切だろう、という示唆が得られました。

実際の診察ではどう考えるか

義足MPKリハの現場では、アウトカム(リハビリの成果を示す指標)そのものは、かなりの施設でしっかり集められていることが分かります。
ただし、その評価のやり方や、集めたデータをどう整理して活かすかという点では、まだ共通のルールづくりが十分とはいえません。
そのため、実際の診察やリハビリの場では、「どの指標を使って患者さんの状態やリハビリの成果を測るのか」「そのデータをどう残して、どのように治療や義足の選択に役立てるのか」について、医師・リハビリスタッフ・義肢装具士などのチームで話し合い、共通の方針を持つ体制を整えることが重要だと考えられます。


参考文献

  • A national survey to explore clinical data and outcome measure collection, storage, and use, within prosthetic rehabilitation services during implementation of the National Health Service England microprocessor controlled prosthetic knee clinical commissioning policy.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41807304/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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