この記事の要点
- 日本語タイトル:腰痛で病休中の労働者に職場介入併用多職種リハは有効か?
- 英語タイトル:Effectiveness of multidisciplinary biopsychosocial rehabilitation including workplace interventions for employees on sick leave due to low back pain: A systematic review.
ここでは、腰痛で仕事を休んでいる方に対して、「多職種リハビリテーション」と「職場への働きかけ」を組み合わせる治療が役に立つのかをまとめた研究を、できるだけわかりやすくお話しします。リハビリテーション科や整形外科の外来で、実際によく問題になる内容です。
研究の背景・目的
働く世代の腰痛は、仕事を休む理由としてよくみられ、一生のうち一度は腰痛を経験する人も多いとされています。腰痛には、はっきりした原因が特定できない「非特異的腰痛(Nonspecific low back pain、画像検査などで明らかな異常が見つからない腰痛)」が多く含まれます。腰痛には、筋肉や骨など身体の問題だけでなく、ストレスや不安などの心理的な要因、人間関係や職場環境といった社会的な要因も関わると考えられています。そこで、医師・理学療法士・作業療法士・心理職など複数の専門職が関わる「多職種リハビリテーション(Multidisciplinary rehabilitation、複数の専門家がチームで行うリハビリ)」と、職場と連携して仕事内容や職場環境を調整する「職場介入(Workplace intervention、職場への働きかけや調整)」を組み合わせたときの効果が、これまでよくわかっていませんでした。この研究は、その効果をはっきりさせることを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究では、原因が特定できない非特異的腰痛で仕事を休んでいる就労者を対象にした「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial、治療を受けるグループをくじ引きのように無作為に分けて比較する研究方法)」を集めて調べています。合計3件のランダム化比較試験をまとめて評価する「システマティックレビュー(Systematic review、一定の基準で論文を集めて全体としての傾向を整理する研究手法)」という方法で、職場介入を組み合わせた多職種リハビリテーションがどの程度効果があるのかを検証しました。
研究の結果
職場介入を組み合わせた多職種リハビリテーションを行うと、12か月後の「機能障害(Functional disability、日常生活や仕事での動作がどの程度やりにくくなっているか)」は、ある程度信頼できるレベルで改善していると判断されました。一方で、「痛みの強さ」や「復職率(Return to work、仕事に戻れた人の割合)」、「病欠日数(Sick leave days、仕事を休んだ日数)」については、研究ごとの結果がそろっておらず、はっきりした効果があるとは言い切れませんでした。また、これらの結果を支える「エビデンスの質(Evidence quality、研究結果の信頼度)」は、低い〜非常に低いと評価されており、解釈には注意が必要とされています。
結論:今回の研究でわかったこと
今回の研究から、職場介入を組み合わせた多職種リハビリテーションは、長い目で見たときの機能障害、つまり「動きにくさ」や「生活や仕事のしづらさ」を改善している可能性が、中くらいの確からしさで示されました。一方で、腰の痛みそのものをどれくらい軽くするか、仕事に戻れる人を増やせるかといった点については、現時点の研究だけでははっきりした結論が出ていないとされています。
実際の診察ではどう考えるか
腰痛で仕事を休んでいる患者さんを診るときには、「痛みの強さ」だけでなく、「どのくらい仕事や日常生活の動作ができるか」といった就労機能を大事な目標として考えることが勧められます。そのうえで、必要に応じて職場と情報を共有したり、仕事内容や勤務形態の調整を相談したりしながら、多職種の専門家が関わるリハビリテーションを、長期的な機能の改善を目指す一つの選択肢として検討することが考えられます。
参考文献
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Effectiveness of multidisciplinary biopsychosocial rehabilitation including workplace interventions for employees on sick leave due to low back pain: A systematic review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41854392/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















