この記事の要点
- 日本語タイトル:慢性足底筋膜炎に軟部組織手技を追加すると痛みは改善するか?
- 英語タイトル:Effectiveness of soft tissue manual therapy in managing chronic plantar fasciitis: a systematic review.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション科や整形外科の外来でよくみられる話題です。
専門的な内容も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえてお伝えしていきます。
研究の背景・目的
慢性足底筋膜炎(Plantar Fasciitis:かかとの前あたりから足の裏にかけてある「足底筋膜」という膜が炎症を起こし、3か月以上痛みが続く状態)は、一般の方のおよそ1割が経験するとされ、特にランニングをする方で起こりやすい足の裏の痛みです。これまでは、ふくらはぎや足裏のストレッチ、足底板(インソールのような足の裏に敷く装具)などが主な治療でしたが、なかなか良くならない方では、「筋膜リリース(Fascial Release:筋肉や筋膜のこわばりを手でゆるめる方法)」や、専用の器具を使って筋肉や皮膚・筋膜などの「軟部組織(Soft Tissue:骨以外のやわらかい組織)」をほぐす手技療法を追加したときの効果が注目されています。
調査の方法(対象など)
2010年から2025年までに行われた「無作為化比較試験(Randomized Controlled Trial:治療法をくじ引きのようにランダムに分けて比べる質の高い研究)」を、PubMed(パブメド:医学論文データベース)、Scopus(スコーパス:学術論文データベース)、CINAHL(シナール:看護・リハビリ系の論文データベース)、Cochrane Library(コクラン・ライブラリー:医療の質の高いレビューを集めたデータベース)で検索しました。対象は、3か月以上症状が続いている慢性足底筋膜炎の成人の方です。筋膜リリースや器具を用いた軟部組織手技療法を行うグループと、従来のリハビリ(ストレッチや運動療法など)のみを行うグループを比較しました。
研究の結果
多くの試験で、軟部組織手技療法を従来のリハビリに加えたグループは、従来のリハビリだけを行ったグループと比べて、痛みのスコア(患者さんが自分の痛みを数値で表したもの)が平均で約1〜2ポイントほど多く改善していました。また、足関節背屈可動域(Ankle Dorsiflexion Range of Motion:つま先を上に反らす動きの角度)も、数度分だけ広がっていました。さらに、足の機能スコア(Foot Function Score:歩く・立つなど足の使いやすさを点数化したもの)も、軟部組織手技を併用したグループのほうが一貫して大きく改善しており、日常生活の動き方という点でも、意味のある差がみられました。
結論:今回の研究でわかったこと
軟部組織手技療法を、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法に追加すると、痛みの軽減や足関節の動きの広がり、足の機能スコアが、運動療法だけの場合よりも一貫して大きく良くなる可能性が高いと考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
慢性足底筋膜炎の方では、ストレッチや筋力強化などの運動療法に加えて、筋膜リリースや器具を使った軟部組織手技療法を組み合わせる治療の組み立て方が、有望な選択肢の一つと考えられます。ただし、どのような手技を使うか、どのくらいの頻度で行うかは、症状の程度や生活スタイルなどを踏まえて、一人ひとりに合わせて調整していく必要があります。
参考文献
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Effectiveness of soft tissue manual therapy in managing chronic plantar fasciitis: a systematic review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41906854/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















