この記事の要点
- 日本語タイトル:慢性足底筋膜炎に軟部組織手技を追加すると有効か?
- 英語タイトル:Effectiveness of soft tissue manual therapy in managing chronic plantar fasciitis: a systematic review.
ここで取り上げるのは、「慢性足底筋膜炎(Plantar Fasciitis、かかとの前あたりの足裏の筋膜に炎症が起きて痛む病気)」についての話です。リハビリテーション(Rehabilitation、機能回復のための訓練や治療)や整形外科(Orthopedics、骨・関節・筋肉など運動器の診療)では、日常的によく出てくるテーマです。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
慢性足底筋膜炎(Plantar Fasciitis、足裏のかかとから指のつけ根まである「足底筋膜」に炎症が続く状態)は、一般の人のおよそ一割が経験するとされる足裏の痛みです。特にランニングをする方や、立ちっぱなしの仕事の方にみられやすいとされています。従来から行われている運動療法(Exercise Therapy、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動を使った治療)や物理療法(Physical Therapy、電気・超音波・温熱などの機器を使った治療)だけでは、痛みが十分に良くならない方も少なくありません。
調査の方法(対象など)
この研究では、成人の慢性足底筋膜炎の方を対象にした研究を集めています。2010年から2025年までに発表された英語のランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT、治療法をくじ引きのようにランダムに分けて効果を比べる質の高い研究)を系統的レビュー(Systematic Review、決まった方法で文献を集めてまとめて評価する手法)という形で調べました。通常行われる治療だけを行ったグループと、軟部組織手技(Soft Tissue Manual Therapy、手を使って筋肉や筋膜などのやわらかい組織をほぐしたり伸ばしたりする治療)を単独で行ったグループ、または通常治療に軟部組織手技を追加したグループを比べた研究が対象になっています。
研究の結果
STMT(Soft Tissue Manual Therapy、軟部組織手技療法)を追加したグループは、通常治療だけを行ったグループと比べて、痛みの強さ、足首の動く範囲(足関節可動域)、押したときに痛みを感じ始める強さ(圧痛閾値)、足の機能を点数化した評価(足部機能スコア)といった項目で、一貫してより良い改善がみられたと報告されています。
結論:今回の研究でわかったこと
慢性足底筋膜炎の方では、これまでの通常治療に加えて軟部組織手技(筋肉や筋膜を手でほぐしたり伸ばしたりする治療)を組み合わせることで、痛みや足の使いやすさ(足部機能)がより良くなる可能性が高いと考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
慢性足底筋膜炎の治療では、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法に加えて、ふくらはぎから足裏にかけての軟部組織手技(筋肉や筋膜を手で丁寧にほぐすような治療)を組み合わせる方法が、有望な選択肢のひとつと考えられます。
参考文献
-
Effectiveness of soft tissue manual therapy in managing chronic plantar fasciitis: a systematic review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41906854/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















