地域在住高齢者で活動量計やアプリは歩数を増やすか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:地域在住高齢者で活動量計やアプリは歩数を増やすか?
  • 英語タイトル:Are You Counting? Effectiveness of Interventions Using Activity Trackers and Smartphone Applications for Increasing Physical Activity in Older People Living in the Community: A Systematic Review With Meta-Analysis.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(機能回復のための訓練)や整形外科(骨や関節、筋肉などを診る診療科)の外来で、よく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつど「英語の正式名称」と「日本語での意味」をできるだけわかりやすくお伝えしていきます。

目次

研究の背景・目的

地域在住高齢者とは、病院や施設ではなく、自宅や地域でふだん通りの生活をしている高齢の方を指します。このような方では、「フレイル(Frailty:加齢に伴って筋力や体力、認知機能などが弱り、要介護の一歩手前の状態)」を予防するために、1日におよそ6,000〜8,000歩歩くことが推奨されています。
しかし現実には、運動不足の方が少なくなく、「どうすれば歩数を増やせるか」をきちんと調べることが課題になっていました。

調査の方法(対象など)

この研究では、地域で生活している60歳以上の方を対象にした「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:複数のグループにくじ引きのように無作為に分けて、治療や介入の効果を比べる研究方法)」を集めて調べています。
たくさんの論文を決まった手順で集めてまとめる方法を「系統的レビュー(Systematic Review)」といい、その結果を統計的にまとめて一つの数字として効果を評価する方法を「メタ解析(Meta-analysis)」と呼びます。
この研究では、活動量計(Activity Tracker:腕時計型やクリップ型などで、歩数や活動量を自動で記録する機器)やスマートフォンアプリ(Smartphone Application:スマートフォンに入れて使う、歩数や運動を記録・表示するソフト)を使って歩数を増やす取り組みが、どのくらい効果があるかを、メタ解析で検討しています。

研究の結果

活動量計やスマートフォンアプリを使ったグループと、「最小限介入(Minimal Intervention:簡単な説明だけ、パンフレットだけなど、ごく控えめな関わり)」や「他の積極的な介入(例:運動教室や指導など、より手厚い支援)」を受けたグループを比べました。
その結果、比較的短い期間では、活動量計やアプリを使ったグループで、1日あたりおよそ1,000歩ほど歩数が増えていました。
一方で、6〜24か月といった長めの期間で追いかけてみると、グループ間の差はだんだん小さくなり、長い期間にわたって効果を保つ力は、かぎられていると判断されています。

結論:今回の研究でわかったこと

活動量計やスマートフォンアプリを使うと、高齢の方の歩数は、短い期間で見ると1日あたり約1,000歩ほど増える傾向がみられました。
ただし、半年(6か月)を過ぎるころからは、その効果が弱まりやすく、長く続けるほど歩数の増え方が小さくなる傾向があると考えられました。

実際の診察ではどう考えるか

診察の場では、活動量計やスマートフォンアプリは、「長く続けるための主役」というより、「まず行動を変えるきっかけを作るための道具」として位置づけると考えやすいです。
自転車でいうと、最初に乗り始めるときの「補助輪」のようなイメージで、導入の初期にうまく使うことが大切と考えられます。
その一方で、同時に「運動を続ける習慣づくり」や、「歩きやすい生活環境づくり(例:歩く時間を決める、買い物ついでに歩くなど)」も一緒に整えていくことが重要とされています。


参考文献

  • Are You Counting? Effectiveness of Interventions Using Activity Trackers and Smartphone Applications for Increasing Physical Activity in Older People Living in the Community: A Systematic Review With Meta-Analysis.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41919924/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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