高齢者では活動量計やスマホアプリで歩数は増えるか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:高齢者では活動量計やスマホアプリで歩数は増えるか?
  • 英語タイトル:Are You Counting? Effectiveness of Interventions Using Activity Trackers and Smartphone Applications for Increasing Physical Activity in Older People Living in the Community: A Systematic Review With Meta-Analysis.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(けがや病気のあとに行う機能回復のための治療)や整形外科(骨や関節、筋肉などを診る診療科)の外来で、よく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつど「英語の正式名称」と「日本語での意味」をそえて、できるだけわかりやすくお話しします。

目次

研究の背景・目的

高齢の方では、日常生活での身体活動量(からだを動かす量)が少なくなると、転倒(つまずいて倒れてしまうこと)や、心血管疾患(しんけっかんしっかん:心臓や血管の病気の総称。心筋梗塞や脳卒中などを含みます)と関連することが知られています。
最近は「活動量計(アクティビティトラッカー:腕時計型などで歩数や消費カロリーを記録する機器)」や「スマートフォンアプリ(スマホの中で歩数などを記録・表示するアプリ)」を使って、自分の歩数を管理する方法が広がっています。
この研究では、「高齢の方がこうした活動量計やアプリを使うと、本当に歩数が増えるのか」「増えたとして、その効果がどのくらいの期間続くのか」という点が、大きな課題として調べられました。

調査の方法(対象など)

対象となったのは、介護施設などではなく、地域でふだん通りの生活をしている高齢者の方々です(地域在住高齢者)。
研究の方法としては、「ランダム化比較試験(らんだむかひかくしけん:参加者をくじ引きのようにグループ分けし、どの方法がより効果的かを公平に比べる研究方法)」で行われた複数の研究をまとめて解析しています。
一方のグループには、活動量計やスマートフォンアプリを使った介入(かいにゅう:歩数を増やすための働きかけ)を行い、もう一方のグループには「最小限の介入(例:一般的な運動の説明だけなど)」や「別の積極的な介入(例:運動教室など、活動量計以外の方法)」を行い、その結果を比べています。

研究の結果

研究の結果として、比較的短い期間(短期)では、活動量計やアプリを使ったグループで、1日におよそ900〜1100歩ほど歩数が増えていました。
一方で、6〜24か月といった中期から長期の期間になると、その歩数の増加が統計的に「有意(ゆうい:偶然とは言い切れない、はっきりした差がある状態)」とまでは言えない結果になっていました。
また、こうした結果をどの程度信頼できるかを示す「エビデンスの確実性(えびでんすのかくじつせい:研究結果の信頼度を評価したもの)」は、全体として高くはなく、低いと判断されています。

結論:今回の研究でわかったこと

今回の研究からは、高齢の方では、活動量計やスマートフォンアプリを使うことで、短い期間であれば歩数が増える可能性があると考えられました。
一方で、6〜24か月といった中期から長期にわたって、その歩数の増加を保ち続けることについては、はっきりした効果が示されておらず、長く続けるためには、活動量計やアプリだけではなく、何らかの追加の支援が必要になる可能性があるとされています。

実際の診察ではどう考えるか

外来で患者さんと一緒に考えるときには、活動量計やスマートフォンアプリは、「まず歩数を増やしてみる」という短期的な目標には役立つ道具と考えられます。
ただし、その効果を長く続けるためには、医師やリハビリスタッフなどによる定期的なフォロー(経過の確認や相談)や、患者さんの体調や生活に合わせた目標の見直しを組み合わせていくことが、大切だと考えられます。


参考文献

  • Are You Counting? Effectiveness of Interventions Using Activity Trackers and Smartphone Applications for Increasing Physical Activity in Older People Living in the Community: A Systematic Review With Meta-Analysis.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41919924/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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