この記事の要点
- 日本語タイトル:肩の痛みにステロイド注射追加は有効か、効果はどれほど続くか?
- 英語タイトル:Efficacy of Corticosteroid Injection in Shoulder Pain in Indian Population: A Randomized Control Trial.
ここでは、肩の痛みに対して「ステロイド注射」を追加する治療がどのくらい効くのか、そしてその効果がどれくらい続くのかをまとめた研究を、できるだけわかりやすくお話しします。
肩の痛みは、リハビリテーション(Rehabilitation:運動療法やストレッチなどの訓練)や、痛み止めの飲み薬・貼り薬である非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)で治療することが多く、整形外科やリハビリ科の外来でよく話題になる内容です。
研究の背景・目的
肩の痛みは、日常生活の質(Quality of Life:QOL、生活のしやすさや満足度)を下げやすい代表的な症状のひとつです。多くの方は、リハビリテーションと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:炎症や痛みを抑える薬)で良くなっていきますが、中にはこうした治療だけでは十分に良くならない方もいます。
そのような場合に、肩の関節の中にステロイド(Corticosteroid:炎症を抑えるホルモン薬)を直接注射する「関節内ステロイド注射」という方法が行われることがあります。この研究では、「このステロイド注射を追加すると、どのくらい痛みが楽になるのか」「その効果はどのくらいの期間続くのか」を調べることを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究では、肩の痛みがあるインド人の患者さん76人を対象にしました。患者さんを無作為(Randomized:えこひいきが入らないように、くじ引きのような方法)に2つのグループに分けました。
1つ目のグループは、「肩の関節内へのステロイド注射」+「リハビリテーション」+「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」を受けるグループです。
2つ目のグループは、「リハビリテーション」+「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」のみを受けるグループです。
この2つのグループを比べることで、ステロイド注射を追加することの効果を調べました。
研究の結果
痛みや肩の使いにくさの程度は、SPADI(Shoulder Pain and Disability Index:肩の痛みと機能障害指数)という評価表を使って数値化して比べました。これは、肩の痛みの強さや、日常生活でどれくらい肩が使いにくいかを点数で表す指標です。
その結果、治療開始から1週間後から1か月後までは、ステロイド注射を受けたグループのほうが、SPADIの点数がより良く(痛みや不自由さが少なく)なっていました。
一方で、3か月以降になると、ステロイド注射をしたグループと、リハビリとNSAIDsだけのグループとのあいだに、SPADIの点数の差は見られなくなりました。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究から、肩の痛みに対する関節内ステロイド注射は、短い期間のあいだ、痛みを和らげる効果があると考えられます。ただし、長い目で見たときの結果は、リハビリテーションだけの場合と同じ程度で、特別に優れているとはいえないとされています。
そのため、関節内ステロイド注射は、肩の痛みがつらい急性期(症状が強く出ている時期)に、痛みを一時的に軽くしてリハビリを進めやすくする「補助的な方法」として位置づけられています。
実際の診察ではどう考えるか
診察の場では、関節内ステロイド注射は「短期間、痛みを和らげてリハビリをやりやすくするための選択肢のひとつ」としてご提案することがあります。そのうえで、「長期的に肩の状態を良くしていくには、リハビリテーションを続けることがとても大切です」とお伝えする形になります。
つまり、ステロイド注射は痛みを一時的に軽くするサポート役であり、根本的な改善には、リハビリを継続していくことが重要と説明されます。
参考文献
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Efficacy of Corticosteroid Injection in Shoulder Pain in Indian Population: A Randomized Control Trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41957997/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















