この記事の要点
- 日本語タイトル:人工膝関節置換術後リハにキネシオテーピング追加で腫脹と可動域は改善するか?
- 英語タイトル:Efficacy of kinesiotaping during rehabilitation following total knee arthroplasty: a prospective randomised controlled trial.
ここでは、人工膝関節置換術(トータルニーアーソロプラスティ:Total Knee Arthroplasty、TKA)という膝の人工関節の手術を受けたあとに行うリハビリテーションについてお話しします。
その中でも、「キネシオテーピング(Kinesio taping:伸縮性のあるテープを皮膚に貼って、腫れや筋肉の動きをサポートする方法)」をリハビリに追加すると、膝の腫れや動かせる範囲がどのくらい変わるのかを、できるだけわかりやすく説明していきます。
研究の背景・目的
人工膝関節置換術(TKA)のあとに多くの方が悩まれるのが、手術後まもない時期の膝の腫れ(腫脹)と、膝がしっかり曲がらない・伸びないといった可動域の制限です。
痛みのコントロールや、入院中に行うリハビリの内容は、だんだん標準的なやり方が整ってきていますが、キネシオテーピングを使って腫れをどの程度減らせるのかについては、はっきりした根拠(エビデンス)があまりありませんでした。
そこで、この研究では「TKA後の標準的なリハビリにキネシオテーピングを加えると、腫れや膝の動きがどのくらい変わるのか」を調べることを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究は「前向きランダム化比較試験(randomized controlled trial、RCT)」という方法で行われました。
前向きというのは、あらかじめ計画を立てて、これから先の経過を追いかけていくやり方です。
ランダム化比較試験(RCT)は、患者さんをくじ引きのような方法で2つのグループに分けて、どちらがより効果があるかを公平に比べる研究方法です。
人工膝関節置換術(TKA)を受けて入院している患者さんを無作為に2つのグループに分け、どちらのグループにも、あらかじめ決められた同じ内容の3週間の入院リハビリを行いました。
そのうえで、介入群(テーピングをするグループ)では、手術後10日目から25日目のあいだに、「K-Activeプロトコル」という決められた方法に沿ってキネシオテーピングを行いました。
研究の結果
一番大事な指標として、膝の周りの太さ(膝周径)がどれくらい変化したかを見ました。これは、膝の腫れ具合を数字で表すための測り方です。
その結果、テーピングをした介入群では、膝周径が平均で−2.1cm(2.1cm細くなった)でした。一方、テーピングをしなかった対照群では−0.9cm(0.9cm細くなった)でした。
2つのグループの差は−1.2cmで、統計的に意味のある差があり、テーピングをしたグループのほうが腫れがややよく引いていた、という結果でした。
また、膝をどれくらい曲げられるかという「膝屈曲可動域」も、テーピングをした介入群のほうが、対照群より数度だけですがよくなっていました。
一方で、痛みの強さや、「Timed Up and Go(TUG:立ち上がって歩いて戻るまでの時間を測るテスト)」、10m歩行テスト(10メートル歩く速さを測るテスト)といった、歩く能力や日常動作の指標では、2つのグループのあいだに明らかな差はみられませんでした。
結論:今回の研究でわかったこと
人工膝関節置換術(TKA)のあとに行う標準的なリハビリに、キネシオテーピングを追加すると、手術後まもない時期の膝の周りの太さが、テーピングをしない場合と比べて平均で約1.2cm多く減り、腫れがやや少なくなることが示されました。
一方で、痛みの強さや歩く機能などについては、2つのグループの差は小さく、長い目で見た機能の改善にどの程度つながるかについては、今後さらに調べていく必要があるとされています。
実際の診察ではどう考えるか
人工膝関節置換術(TKA)のあと、早い時期の膝の腫れを少しでも抑えたいという目的であれば、標準的なリハビリにキネシオテーピングを追加することで、膝の周りの太さや膝を曲げられる範囲に、わずかではありますが上乗せの効果が期待できる可能性があります。
ただし、長期的にみた歩行機能などの改善については、この方法だけで十分とは言えず、ほかのリハビリ方法や治療と組み合わせていくことを考える必要があると考えられます。
参考文献
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Efficacy of kinesiotaping during rehabilitation following total knee arthroplasty: a prospective randomised controlled trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42464852/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


