変性運動器疾患でPBMT+構造化リハビリは標準治療より機能的老化改善に有効か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:変性運動器疾患でPBMT+構造化リハビリは標準治療より機能的老化改善に有効か?
  • 英語タイトル:Photobiomodulation with Structured Rehabilitation Improves Mechanical Function and Functional Aging in Degenerative Musculoskeletal Disease: A Controlled Cohort Study.

ここで取り上げる内容は、整形外科やリハビリテーション科の外来でよく問題になるテーマです。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

「変性運動器疾患」とは、関節や筋肉、骨などの運動器が、年齢や長年の負担などで少しずつ傷んでいく病気の総称です。英語では「Degenerative Musculoskeletal Disease(変性運動器疾患)」と呼ばれます。
このような病気では、痛みや関節の動きにくさ(可動域の低下)だけでなく、歩く力(歩行機能)、筋肉の力(筋力)、左右のバランスの違い(左右差)、体脂肪や筋肉量などの体の中身のバランス(体組成)といった「体の機械的な働き」が、いろいろな面で少しずつ落ちていくと考えられています。
その結果、本来の年齢よりも早いペースで、体の機能が年をとったような状態になる、いわば「機能的な老化」が進みやすいのではないか、という背景があります。

調査の方法(対象など)

この研究は「前向き対照コホート研究(Prospective Controlled Cohort Study)」という方法で行われました。これは、あらかじめ決めた条件の患者さんを一定期間追いかけて、2つの治療法を比べるやり方です。
まず、レントゲン検査(X線検査)で変性運動器疾患が確認された方を対象にしました。そのうえで、
・「PBMT+構造化リハビリ群」:PBMTと決まった内容のリハビリを組み合わせて行うグループ
・「標準治療群」:その施設で通常行われている標準的な治療を受けるグループ
の2つに分けて比較しました。
ここでいうPBMTは「Photobiomodulation Therapy(フォトバイオモジュレーション療法)」の略で、特定の波長の光を当てて、細胞や組織の働きを調整しようとする治療法のことです。
「構造化リハビリ」は、内容や頻度、順番などがあらかじめ決められた、一定のプログラムに沿って行うリハビリテーションのことです。
16週間(約4か月)にわたって介入を行い、歩行や筋力など複数の分野にわたる機能の指標(多領域機能指標)と、「機能的な年齢」がどのように変化したかを評価しました。

研究の結果

PBMT+構造化リハビリを行ったグループでは、標準治療を受けたグループと比べて、歩行や筋力など複数の分野にわたる機能の改善がより大きいという結果が示されました。
その評価には「Composite Multidomain Improvement Index(CMII、複合多領域改善指標)」という指標が使われました。これは、歩行、筋力、バランスなど、いくつかの機能をまとめて数値化し、全体としてどれくらい良くなったかを見るためのものです。
PBMT+構造化リハビリ群では、このCMIIが上昇しており、さらに「機能的な年齢」が、およそ3年分、若い方向に動いたと解釈できる変化が見られたと報告されています。

結論:今回の研究でわかったこと

この研究では、PBMT(フォトバイオモジュレーション療法)と構造化リハビリを組み合わせた治療が、多くの分野にわたる体の機能の改善と、「機能的な年齢」が若返る方向の変化と関連している可能性が示されました。
痛みの程度だけを見るのではなく、歩く力や筋力なども含めて、体全体の機能を幅広く評価しながら、PBMTとリハビリを組み合わせていく戦略が、有用である可能性があると考えられています。

実際の診察ではどう考えるか

実際の診療の場面では、PBMT+構造化リハビリは、痛みだけでなく、歩行や筋力などいろいろな機能の改善と、「体の若さ」に関わる機能的な面の変化と関連している可能性がある、と受け止められます。
一方で、この研究は前向き対照コホート研究というデザインであり、治療効果をより厳密に確かめるには、「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial)」という、くじ引きのようにグループ分けをして比べる研究が今後必要とされています。
そのため、PBMTと構造化リハビリをどう組み合わせるのがよいか、どの要素がどれくらい効いているのかについては、今後の研究で一つひとつ検証していく必要があると考えられています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット
  • アウトドア、旅行

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

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  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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