この記事の要点
- 日本語タイトル:デンマーク理学療法外来でeヘルスはどう使われる?
- 英語タイトル:The use of eHealth in primary physiotherapy care: a mixed-method study.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(Rehabilitation:けがや病気のあとに行う機能回復のための訓練)や整形外科の外来で、実際によく関わってくる話題です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
この研究では、デンマークの理学療法外来(Physiotherapy outpatient clinic:理学療法士が運動療法などを行う外来)で、
「eヘルス(eHealth:電子メールやオンラインシステムなど、インターネットやデジタル機器を使った医療・ヘルスケアのこと)」がどのくらい使われているかを調べています。
あわせて、そういったeヘルスが導入されやすい理由や、逆に導入のさまたげになっている理由を探ることを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究では、「混合研究法(Mixed-method study:数字で集計する量的研究と、インタビューなどで詳しく話を聞く質的研究を組み合わせた方法)」を用いています。
デンマーク全体を対象にオンラインでアンケート調査を行い、さらに「半構造化インタビュー(Semi-structured interview:あらかじめ用意した質問をベースに、会話の流れに合わせて自由に深掘りしていく聞き取り調査)」も実施しました。
対象は理学療法士(Physiotherapist:運動療法などで体の機能回復をサポートする専門職)の方121名でした。
研究の結果
121名の理学療法士への調査では、メール(E-mail)や電話などの、比較的シンプルなデジタルツールは、日常的に広く使われていました。
一方で、オンラインでの高度なリハビリ支援システムや、専用アプリなどの「高度なeヘルス技術」は、ほとんど使われていませんでした。
その理由として、患者さん側の要因(ITスキル:コンピューターやスマートフォンの扱いに慣れているかどうか、年齢など)と、理学療法士側の要因(高度なデジタル技術を使ってケアを提供することへの自信の程度など)が、導入のさまたげになっていると考えられていました。
結論:今回の研究でわかったこと
デンマークの筋骨格系プライマリケア(Musculoskeletal primary care:腰痛や関節痛など、骨や関節・筋肉の不調を主に診る、身近な医療機関での診療)では、
患者さんとの連絡手段として、メールや電話といった基本的なデジタルツールは広く使われていました。
しかし、オンラインでの高度なリハビリ支援や、より複雑なデジタル技術を使ったeヘルスの導入は、まだ限られた範囲にとどまっていました。
eヘルスには、時間や場所を選ばずにやり取りできるといった「柔軟性」などの良い面もありますが、
患者さんのITスキルや年齢、高度なデジタルケアを提供することに対する理学療法士の自信の度合いなどが、導入のハードルになっていると考えられました。
実際の診察ではどう考えるか
実際の診療でeヘルスを取り入れていくには、まず患者さんのITリテラシー(IT literacy:スマートフォンやパソコン、インターネットをどのくらい使いこなせるか)をきちんと把握することが大切になります。
あわせて、理学療法士自身がデジタルツールを使ってケアを行うことに、どの程度自信を持てるかという点も重要です。
さらに、対面診療とオンラインをどう組み合わせるかなど、現場で柔軟に運用できる体制を整えることが、eヘルス導入を進めるうえでポイントになると考えられます。
参考文献
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The use of eHealth in primary physiotherapy care: a mixed-method study.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42641170/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

