この記事の要点
- 日本語タイトル:スポーツ外傷リハでバイオフィードバックは有効か?
- 英語タイトル:Evaluating the Efficacy of Biofeedback in Pain Management and Rehabilitation of Sports Injuries: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials.
ここでは、スポーツでけがをした方のリハビリで「バイオフィードバック」という方法が役に立つのかどうかをまとめた研究を紹介します。
ふだん整形外科やリハビリの診察でよく出てくる内容なので、専門用語もできるだけかみくだいてお話しします。
研究の背景・目的
この研究では、いろいろなタイプのスポーツ障害に対して「バイオフィードバック(Biofeedback:自分の体の状態を機械などで見える形にして、それを手がかりに体の使い方を調整していく方法)」を使ったリハビリがどう役立つかを調べています。
具体的には、
・EMG(Electromyography:筋電図。筋肉がどのくらい働いているかを電気信号として測る検査)
・HRV(Heart Rate Variability:心拍変動。心拍のゆらぎをみて、自律神経のバランスなどを評価する指標)
・VR(Virtual Reality:仮想現実。ゴーグルなどを使って、仮想空間の中で動きの練習をする技術)
といった機器や技術を使ったバイオフィードバックの介入が、スポーツ障害にどのような影響を与えるかをまとめることが目的です。
調査の方法(対象など)
スポーツに関連したけがや障害を持つアスリートの方たちを対象にした研究だけを集めて調べています。
研究の質をそろえるために、「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:治療を受けるグループと受けないグループなどに、くじ引きのような方法で分けて比較する研究方法)」という形式の研究にしぼり、それが9本集められました。
これら9本のランダム化比較試験をまとめて検討する「システマティックレビュー(Systematic Review:決まったルールに沿って文献を集め、全体としての傾向を整理する方法)」が行われています。
研究の結果
今回のまとめでは、「メタ解析(Meta-analysis:複数の研究結果を統計的にまとめて、効果の大きさを数値で示す方法)」までは行われていません。そのため、「どのくらい効くのか」という効果の大きさを具体的な数字で示すことはできていません。
ただし、9本の研究全体を見渡すと、バイオフィードバックを使った介入は、
・痛みの軽減
・筋活動(筋肉の働き方)や筋力の改善
・日常生活やスポーツ動作などの「機能的アウトカム(Functional Outcomes:実際の動きや生活のしやすさに関する結果)」の改善
といった点と関連していたと報告されています。
結論:今回の研究でわかったこと
9本のランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial)をまとめて検討した結果として、バイオフィードバックは、痛みの軽減や機能的な回復の改善と関連しているとされています。
一方で、メタ解析が行われていないため、どの程度の効果があるのかという「効果量」ははっきりしていません。
また、著者らは現時点での科学的な裏づけ(エビデンス)の確実性を低いと評価しています。
実際の診察ではどう考えるか
バイオフィードバックは、痛みのコントロールや「神経筋制御(Neuromuscular Control:神経と筋肉がうまく連携して体を動かす仕組み)」をサポートする方法として、有望な選択肢のひとつと考えられています。
ただし、研究ごとに使っている機械ややり方、評価している指標がばらばらで、「介入法と指標の不均質性(Heterogeneity:条件がそろっていないこと)」が大きいため、全体としてのエビデンスはまだ強いとは言えません。
そのため、実際の診察では、ほかのリハビリや治療と組み合わせながら、患者さんの状態や希望に合わせて慎重に取り入れていく必要があると考えられます。
参考文献
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Evaluating the Efficacy of Biofeedback in Pain Management and Rehabilitation of Sports Injuries: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42678619/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

