変形性膝関節症リハビリにVR併用は本当に有効なのか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:変形性膝関節症リハビリにVR併用は本当に有効なのか?
  • 英語タイトル:Virtual Reality-assisted Physiotherapeutic Training for Patients With Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-analysis.

このテーマは、膝(ひざ)の痛みで通院されている方のリハビリで、実際によく話題になる内容です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、日常の診察室でお話しするような形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

変形性膝関節症(英語名:Knee Osteoarthritis/ひざの軟骨がすり減って痛みや変形が出る慢性的な病気)では、
ひざの痛みだけでなく、「歩きにくい」「段差でつまずきやすい」といった歩行障害や、転びやすくなる(転倒リスクが高くなる)ことが問題になります。
そのため、痛みを和らげることに加えて、「どれくらい体を動かせるか(身体機能)」や「バランスのとりやすさ」を良くするリハビリが大切と考えられています。

調査の方法(対象など)

この研究は、「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial/治療法をくじ引きのようにランダムに分けて、公平に比べる研究)」を集めてまとめた
システマティックレビュー(Systematic Review/一定のルールで論文を集めて整理する方法)と、
メタアナリシス(Meta-analysis/複数の研究結果を統計的にまとめて、全体としての傾向を見る方法)という手法で行われました。
変形性膝関節症の患者さんを対象に、
・バーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR/ゴーグルなどを使って仮想空間の映像を見ながら行うトレーニング)を取り入れた理学療法(Physiotherapy/運動や物理的な刺激を使ったリハビリ)と、
・従来どおりのリハビリ
を比べた、5つのランダム化比較試験の結果がまとめられています。

研究の結果

痛みについては、VRを使ったグループの方が、従来のリハビリだけのグループよりも良くなっていました。
統計学的には、標準化平均差(Standardized Mean Difference:SMD/研究ごとの測り方の違いをそろえて比較するための指標)が0.40、
95%信頼区間(95% Confidence Interval:結果がこの範囲に入ると考えられる幅)が0.14〜0.65、P値(P=0.002/偶然ではなさそうかどうかを示す数字)も0.002で、
統計的に「差がある」と判断される結果でした。
また、「身体機能(どれくらい動けるか)」はSMD0.37、「バランス(ふらつきにくさ)」はSMD0.44と、
いずれもVRを使ったグループの方が、従来のリハビリだけよりも良い方向の変化を示していました。

結論:今回の研究でわかったこと

VRを取り入れた理学療法は、変形性膝関節症の患者さんにおいて、
従来のリハビリだけの場合と比べて、痛み・身体機能・バランスのいずれも統計的に有意な(偶然とは言いにくい)改善がみられました。
そのため、運動療法(Exercise Therapy/筋力トレーニングやストレッチなどの運動を中心とした治療)に、
VRを追加して行う方法が、ひとつの選択肢になり得ると考えられます。

実際の診察ではどう考えるか

VRは、今まで行われてきたリハビリを完全に置き換えるものではなく、
あくまで「今のリハビリにプラスして使うことで、痛み・動きやすさ・バランスの改善を少し上乗せできるかもしれない道具」という位置づけになります。
ただし、今回のような研究は、まだ対象となった患者さんの数(症例規模)が多いとはいえず、
どれくらい長い期間、効果が続くのか(長期成績)についても、今後さらに詳しい検証が必要と考えられます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット
  • アウトドア、旅行

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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