この記事の要点
- 日本語タイトル:AI姿勢認識と自動スコアリングはリハビリ評価をどこまで正確にできるか?
- 英語タイトル:Human pose recognition and automated scoring detection for sports rehabilitation.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(けがや病気のあとに行う機能回復のための訓練)や整形外科の診察で、実際によく関わってくるテーマです。
専門的な話も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえて、ゆっくり説明していきます。
研究の背景・目的
リハビリの評価は、どうしても担当する医師や理学療法士(リハビリの専門職)ごとに、見方や点数のつけ方に差が出やすいと言われています。
この研究では、そのような「人による主観的なばらつき」をできるだけ減らすために、スポーツリハビリで行う動作を人工知能(AI:Artificial Intelligence、人間の学習や判断をコンピュータで模倣する技術)が自動で認識し、その動きの良し悪しを、どのくらい正確に、しかもその場ですぐに点数化できるかを調べています。
調査の方法(対象など)
まず、体の各部位(肩・肘・膝など)の位置を示す「骨格キーポイント」と呼ばれる目印を、映像から取り出しました。これは、画像処理の技術を使って、体の関節の位置をコンピュータ上で数値として扱えるようにする方法です。
次に、「ランダムフォレスト(Random Forest、複数の決定木という予測モデルを組み合わせて分類や予測を行う機械学習の手法)」という方法を使って、その動きがどの種類のリハビリ動作なのかを分類しました。
さらに、「SNN(Siamese Neural Network、サイアミーズ・ニューラル・ネットワーク:2つのデータの“似ている度合い”を学習して数値化する人工ニューラルネットワーク)」という仕組みを用いて、理想的な動きのデータと比べて、どのくらい似ているかを数値で表しました。これにより、患者さんの動きが理想の動きにどれだけ近いかを、点数として出せるようにしています。
研究の結果
AIが姿勢をどれくらい正しく認識できたかを調べたところ、約98%の精度で姿勢を判定できたと報告されています。
また、関節の角度(どれくらい曲がっているか・伸びているか)の誤差は6%未満におさまっており、実際の角度と比較しても大きなズレは少ないとされています。
さらに、AIがつけたスコアと、専門家(医師やリハビリスタッフなど)がつけたスコアとの関連を調べると、その相関(どれくらい似た傾向の点数になっているか)が92〜98%と高く、専門家の評価にかなり近い自動スコアリングが可能であることが示されています。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究から、AIを使った姿勢認識と自動スコアリングによって、リハビリの動きを客観的(誰が見ても同じ基準になるような形)に、しかも高い精度で評価できる可能性が示されています。
その結果として、リハビリの内容や進み具合をより細かく把握しやすくなり、患者さん一人ひとりに合ったリハビリ計画を立てやすくなることで、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質、日常生活のしやすさや満足度)を高めることに役立つ可能性があると考えられています。
実際の診察ではどう考えるか
実際の診察やリハビリの場面では、AIが出したスコアだけで判断するのではなく、「標準化評価動作(評価のために決められた一定の動き)」と組み合わせて使うことが想定されています。
さらに、患者さんが感じている痛み(疼痛)や、筋力検査でわかる筋肉の力の状態など、ほかの診察所見とあわせて総合的に判断することで、整形外科のリハビリ評価をより客観的でわかりやすいものにしていくのに役立つと考えられています。
参考文献
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Human pose recognition and automated scoring detection for sports rehabilitation.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41832253/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















