この記事の要点
- 日本語タイトル:急性筋骨格系疼痛で非薬物療法はどれほど使われる?
- 英語タイトル:Clinician Characteristics and the Use of Nonpharmacological Treatment for Acute Musculoskeletal Pain in an Active-Duty Military Population.
ここでいう「急性筋骨格系疼痛(acute musculoskeletal pain)」とは、急に起こる、筋肉・骨・関節・靱帯(じんたい)などの痛みのことです。
「非薬物療法(nonpharmacological treatment:NPT)」は、飲み薬や注射などの薬を使わずに行う治療のことで、たとえば理学療法(physical therapy:運動やストレッチ、物理療法など)、温熱療法、マッサージ、運動指導などが含まれます。
この記事では、こうした治療が実際にどのくらい使われているのかを、できるだけわかりやすくお話しします。
研究の背景・目的
急に起こる筋肉や関節などの痛みに対して、薬以外の治療(非薬物療法:NPT)が、実際の診療の場でどのくらい使われているかを調べた研究です。
特に、現役で勤務している軍人さんたちの医療データを使って、「どのくらいの人が非薬物療法を受けているのか」「どんな施設で非薬物療法が使われやすいのか」を明らかにすることが目的です。
調査の方法(対象など)
この研究は、アメリカの軍の医療システムで集められた行政データ(administrative data:診療報酬や受診記録などのデータ)を使って行われました。
2016年から2021年までの6年間にさかのぼってデータを調べる「横断的後ろ向き観察研究(cross-sectional retrospective observational study)」という方法です。これは、過去の記録をまとめて見直し、実際にどのような診療が行われていたかを観察するタイプの研究です。
対象となったのは、現役で勤務している軍人さんで、新しく筋骨格系の痛みが出て治療を受け始めた「新規の治療エピソード(new treatment episode:ある痛みについて治療を始めてからのひとまとまりの期間)」です。
研究の結果
最初に痛みの診断(インデックス疼痛診断:index pain diagnosis)を受けてから60日以内に、非薬物療法(NPT)を受けた人は全体の40%でした。
年ごとに見ると、2016年は39%だったのが、2021年には46%まで増えていました。つまり、少しずつですが、薬以外の治療を受ける人が増えてきているという結果です。
また、理学療法士(physical therapist:運動療法やストレッチ、リハビリを専門とする国家資格の医療職)が、平均よりも1標準偏差(standard deviation:統計で使う「平均からどのくらい離れているか」を示す指標)多く配置されている医療施設では、非薬物療法に関する結果(NPT関連アウトカム)の「調整済み発生確率(他の条件の違いを統計的に補正したうえでの起こりやすさ)」が、0.5ポイント高いと示されました。
つまり、理学療法士が多い施設では、わずかですが非薬物療法が行われる割合が高くなっていました。
結論:今回の研究でわかったこと
現役軍人さんの急性筋骨格系疼痛では、痛みの診断から60日以内に非薬物療法(NPT)を受けている人は、およそ40%にとどまっていました。
また、非薬物療法を行うスタッフ(たとえば理学療法士など)が多く配置されている医療施設ほど、非薬物療法が行われる割合や、「薬による治療を始める前に非薬物療法を行う」ケースが、わずかに増えていることが示されました。
実際の診察ではどう考えるか
非薬物療法(NPT)の利用を増やしていくには、理学療法士などNPTを担当するスタッフを十分に配置し、患者さんが受けやすいようにアクセスを良くすることが大切と考えられます。
この研究結果は、医療機関にとって、自分たちの施設で非薬物療法をどのくらい提供できているか、体制を見直すきっかけになると考えられます。
参考文献
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Clinician Characteristics and the Use of Nonpharmacological Treatment for Acute Musculoskeletal Pain in an Active-Duty Military Population.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42472619/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


