この記事の要点
- 日本語タイトル:2015〜2025年、作業関連筋骨格系疾患に対するPT/OTは痛みと生産性低下をどこまで改善できるか?
- 英語タイトル:A Review of the Role Played by Physical and Occupational Therapists in the U.S. Treating Work-Related Musculoskeletal Disorders – 2015-2025.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来で、実際によく問題になるテーマです。
専門的な話も出てきますが、「作業関連筋骨格系疾患って何?」「理学療法や作業療法でどこまで良くなるの?」という疑問に、できるだけ日常の言葉でお伝えしていきます。
研究の背景・目的
アメリカでは、仕事が原因もしくは仕事に関連して起こる「作業関連筋骨格系疾患(Work-Related Musculoskeletal Disorders:仕事に関係した、筋肉・関節・腱・靱帯などの障害)」が増えてきています。
そこで、このような病気に対して、
・理学療法(Physical Therapy:筋力トレーニングやストレッチ、姿勢・動作の指導などを通して、体の機能回復をめざす治療)と
・作業療法(Occupational Therapy:仕事や日常生活の動作を行いやすくするための練習や環境調整を行う治療)
が、どのくらい痛みを減らし、職場への復帰を助け、医療費の負担を減らしているのかを整理して確認する必要がありました。
調査の方法(対象など)
2015年から2025年までの10年間に発表された、作業関連筋骨格系疾患と、
・PT(Physical Therapist:理学療法士。運動療法などで体の機能回復をサポートする専門職)
・OT(Occupational Therapist:作業療法士。仕事や日常生活の動作をしやすくするよう支援する専門職)
に関する医学論文、診療ガイドライン、産業保健(Occupational Health:働く人の健康を守る分野)のレポートを、幅広く集めて見直しました(包括的レビューといいます)。
研究の結果
理学療法士や作業療法士による介入を受けたグループでは、何もしなかったグループと比べて、
・痛みの強さを数値で表した「痛みスコア」が平均で20〜30%ほど良くなっていました。
・日常生活や仕事のしやすさを表す「機能スコア」も、15〜25%ほど改善していました。
また、症状が出てから早い段階で理学療法・作業療法を始めた人たちは、
・仕事に戻るまでの日数が20〜40%短くなる傾向があり、
・1人あたりの医療費も10〜30%ほど少なくなる傾向があると報告されていました。
結論:今回の研究でわかったこと
2015〜2025年の研究をまとめてみると、作業関連筋骨格系疾患に対して、理学療法士と作業療法士が早い段階から関わることは、
・痛みを和らげること、
・仕事への復帰を進めること、
・医療費の負担を減らすこと、
に、全体として有効である可能性が一貫して示されていました。
実際の診察ではどう考えるか
作業関連筋骨格系疾患の方を診るときには、まず画像検査(レントゲンやMRIなど)をたくさん行ったり、長く安静にしてもらうよりも、
・早めに理学療法士・作業療法士によるリハビリを始めることを第一の選択肢として考え、
・あわせて、職場のエルゴノミクス(Ergonomics:机や椅子の高さ、パソコンの位置、作業姿勢などを調整して、体への負担を減らす工夫)を見直すこと
が、痛みを減らし、仕事への復帰を進め、結果として医療費の負担を抑えるうえで役に立つ戦略と考えられます。
参考文献
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A Review of the Role Played by Physical and Occupational Therapists in the U.S. Treating Work-Related Musculoskeletal Disorders – 2015-2025.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42087316/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















