まず結論:この研究から言えること
40〜70歳で早期の膝の変形性関節症がある150人を調べた研究では、運動、冷やすケア、薬を組み合わせた方法は、薬だけの場合より痛み、膝の機能、太ももの筋力が大きく改善しました。ただし、研究結果をすべての人に当てはめられるかは、Abstractだけでは詳しくわかりません。
そもそも、どんな問題なのか?
膝の変形性関節症は、膝の痛みや動かしにくさにつながる病気です。今回の研究は、Kellgren-Lawrence分類1〜2の早期膝変形性関節症の人を対象にしました。
研究では、運動、膝を冷やすケア、薬を組み合わせた「EMI」という方法を調べました。薬には、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムの補充が含まれ、6週間続けました。
今回の研究では何を調べたのか?
この研究は、前向き並行群ランダム化比較試験です。これは、参加者をくじ引きのように二つの群へ分け、決めた期間を追いながら結果を比べる方法です。
対象は、40〜70歳で、Kellgren-Lawrence分類1〜2の早期膝変形性関節症がある150人です。この分類は、膝の状態を画像で段階的に表す方法です。
EMI群は、運動、膝を冷やすケア、6週間の決められた薬の治療を受けました。薬物療法単独群は、同じ薬の治療だけを受けました。
主な評価は、6週間後の痛みの変化です。膝の機能、太ももの前側の筋力、追加で使った痛み止め、治療を続けられたか、副作用も調べ、追跡期間は1年間でした。
何がわかったのか?
1年後まで追跡できた人は138人(92%)でした。痛みの視覚的アナログ尺度(痛みの強さを数字で表す方法)は、EMI群で6.6±1.1から1.9±0.9へ、薬物療法単独群で6.5±1.2から3.4±1.2へ下がりました。
痛みの改善は、EMI群のほうが大きくなりました(p<0.001)。この値は、差がないと仮定した場合に、今回以上の差が得られる確率を示す統計値です。
膝の機能、太ももの前側の筋力、追加で使う非ステロイド性抗炎症薬(痛みや炎症を抑える薬)の使用量も、EMI群のほうが有意に良好でした。運動と冷やすケアの実施状況は良好で、副作用は少なく、両群で大きな違いはありませんでした。
私たちの生活・リハビリにどう関係する?
この研究からは、早期の膝の変形性関節症では、決められた薬の治療に運動と膝を冷やすケアを組み合わせる方法が、痛み、膝機能、太ももの筋力の改善につながったといえます。
ただし、この研究結果だけで、すべての人に同じ方法が合うとはいえません。運動の内容や薬の使用については、年齢や体の状態を踏まえ、主治医に相談してください。
研究でまだわからないこと
この研究の対象は、40〜70歳で、早期の膝の変形性関節症がある人です。そのため、別の年齢や膝の状態の人に、同じ結果が得られるかはわかりません。
Abstractには、研究の詳しい限界は明記されていません。Abstractだけでは、結果をどの範囲まで一般化できるかを詳しく確認できません。
Yoリハ 佐藤院長の視点
論文の結果を一人ひとりにそのまま当てはめるのではなく、診察と動きの評価を組み合わせて考えることが大切です。
開院後のYoリハでは、次のような検査や治療を予定しています。ひざ痛の手術なし外来では、薬・注射、リハビリ、装具を軸に、膝だけでなく歩行や足圧も評価する予定です。十分な保険診療でも改善が乏しい場合は、適応を確認したうえで自費診療のPRPなども相談しますが、手術を避けられると保証するものではありません。詳しくは「ひざ痛の手術なし外来」をご覧ください。
Yoリハビリ整形外科かわなは2027年4月1日の開院を予定しており、現在は診療・予約を開始していません。
参考文献
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Exercise, Medicine and Icing (EMI) for the Knee: Small Instalments, Big Gains in Early Osteoarthritis.
PMID: 42894614
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42894614/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

