この記事の要点
- 日本語タイトル:変形性膝関節症で筋トレは全ステージで有効か?
- 英語タイトル:Efficacy and safety of resistance training for knee osteoarthritis and subsequent knee replacement: A systematic review and meta-analysis.
ここでは、変形性膝関節症(英語名:Knee Osteoarthritis/膝の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)に対して、筋力トレーニングがどの段階でも役に立つのかをまとめています。
リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になる内容を、できるだけ専門用語をかみくだいてお話しします。
研究の背景・目的
変形性膝関節症では、一般的に筋力トレーニング(英語名:Resistance Training/重りや自重を使って筋肉に負荷をかける運動)が勧められています。
ただ、「ごく初期の段階」から、「人工膝関節置換術(英語名:Total Knee Arthroplasty/傷んだ膝の関節を人工の関節に入れ替える手術)」の前後まで、病気のどの段階でも一貫して効果があるのか、安全性はどうか、といった点ははっきりしていませんでした。
この研究は、膝の状態の進み具合にかかわらず、筋力トレーニングがどれくらい効果があり、安全に行えるのかを整理して調べることを目的としています。
調査の方法(対象など)
変形性膝関節症の患者さん10,253人を対象としたランダム化比較試験(英語名:Randomized Controlled Trial/治療法をくじ引きのように分けて、公平に比べる研究)を集めて調べました。
そのうえで、筋力トレーニングが「機能(英語名:Function/歩く・立ち上がるなどの日常動作のしやすさ)」と「痛み(英語名:Pain)」にどのくらい効いているか、また安全性はどうかを、メタ解析(英語名:Meta-analysis/複数の研究結果をまとめて統計的に評価する方法)という手法で評価しました。
研究の結果
変形性膝関節症の「早い段階」では、筋力トレーニングによって、日常生活での動きやすさ(機能)と痛みが、いずれも「中程度から大きめ」の改善がみられました。
手術前の段階では、膝を伸ばす筋肉(膝伸展筋力)が「中程度」の改善を示しました。
人工膝関節置換術のあとでも、歩く・立ち上がるといった移動能力(モビリティ)と膝の痛みが「中程度」良くなっていました。
また、筋力トレーニングを行った人と行わなかった人とで、有害事象(英語名:Adverse Events/運動によるケガや体調悪化などの好ましくない出来事)の起こりやすさに、はっきりした差はみられませんでした。
結論:今回の研究でわかったこと
変形性膝関節症のどの段階でも、筋力トレーニングは、日常生活の動きやすさ(機能)と痛みを「中程度」改善している可能性があると考えられました。
また、筋力トレーニングを行っても、有害事象が特に増えるとはいえない結果であり、比較的安全に行える可能性が高い介入と考えられました。
実際の診察ではどう考えるか
変形性膝関節症では、病気の初期の段階から、人工膝関節置換術の前後にいたるまで、筋力トレーニングを治療の「柱のひとつ(コア介入)」として考えることが多いです。
ただし、痛みの強さや、今どのくらい動けるか(体力やバランスなど)は人それぞれです。
そのため、実際には、患者さん一人ひとりの膝の痛みや体の状態をみながら、運動の強さ(負荷)や回数をこまめに調整し、無理のない範囲で続けていくことが大切と考えられます。
参考文献
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Efficacy and safety of resistance training for knee osteoarthritis and subsequent knee replacement: A systematic review and meta-analysis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42030701/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















