この記事の要点
- 日本語タイトル:変形性膝関節症は何をどの順番で治療すべきか?
- 英語タイトル:Evidence-to-Recommendation Framework for 2026 ACE Clinical Guidelines on the management of knee osteoarthritis – a joint effort with patients.
ここで取り上げる「変形性膝関節症(へんけいせい ひざ かんせつしょう)」は、膝の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気で、リハビリテーション科や整形外科の外来でとてもよくみられます。
専門的な内容も含まれますが、できるだけ日常の診察でお話しするような、わかりやすい言葉で説明していきます。
研究の背景・目的
変形性膝関節症(英語名:knee osteoarthritis、略して膝OA)は、患者さんの数が多く、日本全体として医療費の負担も大きい病気です。
本来まず行うべき「保存療法(手術をしない治療。運動療法やリハビリテーション、生活指導、薬など)」が十分に行われていない一方で、はり治療やサプリメントなどの「代替医療(通常の医療とは別の方法として用いられる治療)」が多く使われているという差が問題になっています。
この研究では、そのような状況をふまえて、どの治療をどの順番で考えるのがよいかを整理することを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究では、GRADE(グレード:Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)という方法を使いました。
GRADEは、「推奨の評価・作成・検討」のための国際的な枠組みで、
・治療による利益(よくなる点)と害(副作用やリスク)
・患者さんの価値観や希望
・医療にかかる費用や人手などの資源
といった要素を、決まった手順にそって系統的に評価していく方法です。
この枠組みを用いて、変形性膝関節症の治療方針を整理しました。
研究の結果
この研究では、変形性膝関節症で
・本来大切なはずの保存療法が十分に行われていないこと
・一方で、はり治療やサプリメントなどの代替医療が多く使われていること
が課題として示されました。
そのうえで、まずは膝の状態や生活背景を含めた「包括的評価(体の状態だけでなく、生活状況や気持ちの面も含めて全体をみること)」を行い、
・運動療法(筋力トレーニングやストレッチなどの運動)
・理学療法(Physical Therapy:専門職による運動指導や物理療法など)
・教育(病気のしくみやセルフケアの方法を知ってもらうこと)
を治療の中心として、強くすすめる立場をとりました。
薬による治療は、これらを支える「補助的な役割」として位置づけられ、代替医療については、効果や安全性をよく考えながら「慎重に利用する」ものとされました。
結論:今回の研究でわかったこと
変形性膝関節症の治療では、まず「保存療法(運動・理学療法・教育など)」を治療の柱として考えることが大切とされています。
薬は、その柱を支える補助的な手段として使い、代替医療については、効果や安全性、費用などをよく検討したうえで慎重に選ぶことが、治療を進めるうえでのポイントとされています。
実際の診察ではどう考えるか
実際の診察では、初めて受診されたときから「バイオサイコソーシャル評価(Biopsychosocial assessment)」を行うことが重視されています。
バイオサイコソーシャル評価とは、
・バイオ(Biological:体の状態や病気そのもの)
・サイコ(Psychological:気分、ストレス、不安など心の状態)
・ソーシャル(Social:仕事や家族、生活環境など社会的な背景)
をあわせて考える見方のことです。
そのうえで、治療の第一選択としては、運動療法と病気やセルフケアについての教育を中心に行い、薬や代替医療はあくまで補助的な位置づけで用いる姿勢が重要だとまとめられています。
参考文献
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Evidence-to-Recommendation Framework for 2026 ACE Clinical Guidelines on the management of knee osteoarthritis – a joint effort with patients.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42054041/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















