この記事の要点
- 日本語タイトル:手根管症候群に対しKTとTENSはどちらが有効か?
- 英語タイトル:Comparison of Treatment Outcomes From 6 Weeks of Home-Based Kinesio Taping and Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation Combined With Self-Applied Myofascial Stretching in Adults With Carpal Tunnel Syndrome.
ここでは、リハビリテーションや整形外科の外来でよくみられる「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」について、
「キネシオテーピング(Kinesio Taping:筋肉や関節をサポートするための伸縮性テープを貼る方法)」と、
「経皮的電気神経刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:皮ふの上から弱い電気を流して痛みを和らげる機械治療)」のどちらが有効かを扱った研究を、できるだけわかりやすく説明します。
研究の背景・目的
手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome)は、手首の「手根管」というトンネル状の部分で、正中神経(せいちゅうしんけい:親指〜薬指の一部の感覚や動きをつかさどる神経)が圧迫されて起こる「絞扼性ニューロパチー(こうやくせいニューロパチー:神経が狭いところで締めつけられて障害される病気の総称)」の中でも、頻度が高い病気です。
手のしびれや痛みが出たり、細かい作業をする力(巧緻性〈こうちせい〉:ボタンをとめる、箸を使うなどの器用さ)が落ちることで、日常生活の動作に支障が出ることがあります。
調査の方法(対象など)
この研究では、軽症から中等度の手根管症候群の成人の方を対象にしました。
6週間、自宅で行う「キネシオテーピング(KT)」または「経皮的電気神経刺激(TENS)」のどちらかに加えて、「自己筋膜ストレッチ(じこきんまくストレッチ:自分で行う筋肉や筋膜〈きんまく:筋肉を包む膜〉のストレッチ)」を組み合わせた治療を行い、その効果を比べるランダム化試験(治療法をくじ引きのように分けて公平に比較する研究)でした。
研究の結果
どちらのグループでも、痛みや症状の重さ、握力(にぎる力)やピンチ力(指先でつまむ力)、2点識別覚(2つの点を同時に当てたときに、1点ではなく2点と感じ分けられる感覚)、巧緻性(手先の器用さ)は、いずれも統計学的に意味のある範囲で改善していました。
そのうえで、キネシオテーピング(KT)を行ったグループの方が、経皮的電気神経刺激(TENS)のグループよりも、痛み、握力、症状の重さ、巧緻性の改善がやや大きいという結果でした。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究では、キネシオテーピング(KT)と経皮的電気神経刺激(TENS)のどちらも、痛みや手先の器用さ(巧緻性)の改善に役立つ可能性があると示されました。
その中で、キネシオテーピング(KT)は、握力や症状の重さの面で、やや優れている可能性がある「非侵襲的(ひしんしゅうてき:体を切ったり針を刺したりしない)」な治療の選択肢と考えられました。
実際の診察ではどう考えるか
軽症から中等度の手根管症候群の方では、注射(神経周囲へのステロイド注射など)や手術といった、より侵襲的な治療に進む前の「保存的治療(ほぞんてきちりょう:まず体への負担が少ない方法から行う治療)」の一つとして、キネシオテーピング(KT)と自己筋膜ストレッチを組み合わせた自宅でのプログラムを提案しうる内容といえます。
参考文献
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Comparison of Treatment Outcomes From 6 Weeks of Home-Based Kinesio Taping and Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation Combined With Self-Applied Myofascial Stretching in Adults With Carpal Tunnel Syndrome.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42057378/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















