変形性膝関節症に八段錦を追加すると痛みやバランスは改善するか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:変形性膝関節症に八段錦を追加すると痛みやバランスは改善するか?
  • 英語タイトル:The effect of Baduanjin on pain, balance, function and kinesiophobia in individuals with knee osteoarthritis: A randomized controlled trial.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく問題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、日常の診察でお話しするような言葉で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis:膝の軟骨がすり減って痛みや変形が出る病気)は、中高年の方に多くみられます。膝の痛みのほか、歩きにくさやつまずきやすさなどのバランスの低下が起こりやすい、代表的な病気です。また、「動かすと痛くなりそうでこわい」といった心理的な不安や恐怖があると、運動を続けることの妨げになると考えられています。

調査の方法(対象など)

40〜70歳の変形性膝関節症の患者さん66人を対象にした研究です。
まず、全員に「構造化運動療法(Structured Exercise Therapy:内容や回数があらかじめ決められた運動プログラム)」を行い、そのうえで、
1つ目のグループは運動療法だけ、
2つ目と3つ目のグループは、これに「八段錦(Baduanjin:ゆっくりとした動きと呼吸を組み合わせた中国の伝統的な体操)」を対面またはオンラインで追加しました。
この3つのグループを無作為化比較試験(Randomized Controlled Trial:くじ引きのようにグループ分けして公平に比べる研究)として比較しました。

研究の結果

八段錦を追加したグループでは、次のような評価項目が有意に良くなりました。
Visual Analog Scale(VAS、視覚的アナログ尺度:痛みの強さを0〜10などの線上で自己評価する方法)、
WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index:変形性関節症の痛み・こわばり・日常生活動作のしづらさを質問票で評価する指標)、
Berg Balance Scale(BBS、バーグバランススケール:立つ・座る・向きを変えるなど14項目でバランス能力を評価する検査)、
Timed Up and Go Test(TUG、起立歩行テスト:椅子から立ち上がり、3メートル歩いて戻って座るまでの時間を測るテスト)、
Tampa Scale for Kinesiophobia(タンパ動作恐怖尺度:動かすことや運動に対する恐怖心の強さを質問票で評価する尺度)、
30秒椅子立ち上がり回数(30-Second Chair Stand Test:30秒間に椅子から何回立ち上がれるかを見る筋力と機能のテスト)です。
これらが、運動療法だけのグループと比べて、より広い範囲で改善していたと報告されています。

結論:今回の研究でわかったこと

変形性膝関節症の方に対して、通常行う運動療法に加えて八段錦を取り入れると、膝の痛み、日常生活での動きやすさ、バランス能力、そして「動かすのがこわい」という気持ちの面まで、幅広く改善がみられたという結果でした。また、外来でのリハビリと、自宅でのオンラインによる八段錦を組み合わせる方法の有用性が示唆されています。

実際の診察ではどう考えるか

変形性膝関節症の治療では、まず標準的な運動療法が基本になります。そのうえで、八段錦のような、負担が比較的少なく続けやすい体操を、対面指導やオンライン指導で追加することで、痛みやバランスの改善に加えて、「動かすのがこわい」という気持ちの軽減も期待できると考えられます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

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