慢性足関節不安定症で、どの運動療法が姿勢制御と自己申告機能を最も改善するか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:慢性足関節不安定症で、どの運動療法が姿勢制御と自己申告機能を最も改善するか?
  • 英語タイトル:Effects of exercise therapy on dynamic posture control and self-report function in individuals with chronic ankle instability: a systematic review with pairwise and network meta-analysis.

ここで取り上げる内容は、足首の捻挫のあとに続く不安定感についてで、リハビリテーション科や整形外科の外来でよく問題になります。
専門的な話も出てきますが、「英語の正式名称」と「日本語での意味」をできるだけそえて、日常会話に近い形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

「慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability:足首の捻挫をきっかけに、ぐらつき感や不安定さが長く続く状態)」は、足首の捻挫のあとによく残る症状のひとつとされています。そのため、同じように足首をひねる「再捻挫」の原因になったり、スポーツや運動への復帰が遅れる一因になると考えられています。

調査の方法(対象など)

この研究では、慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability)の方を対象にした48本の「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:治療法をくじ引きのように分けて、公平に比べる研究)」をまとめて調べています。
そのうえで、7種類の運動療法(Exercise Therapy:運動を使った治療法)の効果を、「ネットワークメタ解析(Network Meta-analysis:複数の治療法を同時に比較できる統計的な方法)」という手法を使って、互いに比較しました。

研究の結果

まず、「動的姿勢制御(Dynamic Posture Control:動きながらバランスを保つ力)」については、どの運動療法でも改善がみられました。その中でも、「視覚遮断バランストレーニング(Vision-occluded Balance Training:目をつぶる、または視界を制限した状態で行うバランス練習)」が、最も有力と考えられました。
また、「自己申告機能(Self-report Function:ご本人が感じている足首の使いやすさや症状の程度を、質問票などで答えてもらう評価)」については、「血流制限トレーニング(Blood Flow Restriction Training:専用のベルトなどで血流を少し制限しながら行う筋力トレーニング)」と、先ほどの視覚遮断を用いたトレーニングが、特に有望である可能性が示されています。

結論:今回の研究でわかったこと

今回の解析では、動きながらのバランス能力である動的姿勢制御(Dynamic Posture Control)については、視覚遮断バランストレーニング(Vision-occluded Balance Training)が最も有力と考えられました。
また、患者さん自身の感じ方を評価する自己申告機能(Self-report Function)については、血流制限トレーニング(Blood Flow Restriction Training)と視覚遮断を用いたトレーニングが有望とされています。ただし、これらの結果を支える「エビデンス(Evidence:科学的な根拠)」の質は非常に低いと評価されており、はっきりと言い切れる段階ではないとされています。

実際の診察ではどう考えるか

実際の診察やリハビリの場面では、視覚遮断バランストレーニング(Vision-occluded Balance Training)や血流制限トレーニング(Blood Flow Restriction Training)を、これまで行われてきたバランストレーニングや筋力トレーニングに、段階を追って少しずつ組み込んでいく、という考え方になります。
その際には、安全性(転倒のリスクや血流制限による体への負担など)や、患者さんそれぞれの年齢・持病・スポーツ歴などの背景をよく考えたうえで、どの方法をどの程度取り入れるかを選んでいくことが大切とされています。


参考文献

  • Effects of exercise therapy on dynamic posture control and self-report function in individuals with chronic ankle instability: a systematic review with pairwise and network meta-analysis.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42227253/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

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  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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