この記事の要点
- 日本語タイトル:女性手根管症候群にESWT追加は有効か?
- 英語タイトル:Adding Extracorporeal Shockwave Therapy to Conventional Treatment Improves Pain, Function, and Electrophysiological Function in Females With Carpal Tunnel Syndrome: A Randomized Controlled Trial.
ここで取り上げる「手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome、手首のトンネルで神経が圧迫されてしびれや痛みが出る病気)」は、リハビリテーション科や整形外科の外来でよくみられる病気です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
手根管症候群では、まず手術をしない「保存療法(薬・装具・リハビリなどの治療)」を行うことが多いのですが、それでもしびれや痛みが残ってしまう方がいます。
そこで、この研究では「ESWT(Extracorporeal Shockwave Therapy、体外衝撃波療法:体の外から衝撃波という振動エネルギーをあてる治療)」を、今までの保存療法に追加すると、症状がどのくらい良くなるのかに注目して調べています。
調査の方法(対象など)
25〜40歳の女性で、手根管症候群と診断された100人を対象にした研究です。
研究の形は「RCT(Randomized Controlled Trial、ランダム化比較試験:患者さんをくじ引きのようにランダムに2つのグループに分けて、公平に治療効果を比べる方法)」です。
一方のグループは通常の保存療法だけを行い、もう一方のグループは通常の保存療法にESWT(体外衝撃波療法)を追加して、その違いを比較しました。
研究の結果
ESWTを追加したグループでは、いくつかの指標で明らかな改善がみられました。
まず、患者さん自身の症状のつらさを点数化した「SSS(Symptom Severity Scale、症状重症度スケール)」と、痛みの強さをものさしのように0〜10などで表す「VAS(Visual Analogue Scale、視覚的アナログ尺度)」が、より良くなっていました。
さらに、神経の電気の流れ方を調べる検査でも変化がありました。
「DSL(Distal Sensory Latency、遠位感覚潜時:指先側の感覚神経が電気刺激に反応するまでの時間)」、「DML(Distal Motor Latency、遠位運動潜時:指先側の運動神経が反応するまでの時間)」、「SNCV(Sensory Nerve Conduction Velocity、感覚神経伝導速度:感覚神経を電気がどれくらいの速さで伝わるか)」が、ESWTを追加したグループで有意に(統計的に意味があるレベルで)改善していました。
一方で、「MNCV(Motor Nerve Conduction Velocity、運動神経伝導速度:運動神経の電気の伝わる速さ)」と、手の使いにくさなど日常生活の機能を評価する「FSS(Functional Status Scale、機能状態スケール)」については、2つのグループの差は統計的にははっきりした違いが出ませんでした(非有意という結果でした)。
結論:今回の研究でわかったこと
25〜40歳の女性の手根管症候群の患者さんでは、通常行っているリハビリや装具などの保存療法にESWT(体外衝撃波療法)を追加すると、痛みの程度や神経の電気の流れ方(神経伝導)が統計的に有意に改善した、という結果でした。
このことから、保存療法を続けている患者さんに対して、ESWTを併用することが、治療の選択肢のひとつになりうる可能性が示された、という位置づけになります。
実際の診察ではどう考えるか
この研究では、特に「痛み」と「しびれなど感覚に関する指標」の改善が中心で、「手の力」や「細かい動き」などの運動機能の変化は限られていました。
そのため、実際の診察では、痛みやしびれがつらい一方で、比較的若い(25〜40歳くらいの)女性で、まずは手術をしない保存療法を続けている手根管症候群の方に対して、ESWT(体外衝撃波療法)を併用することを検討する、という考え方になります。
参考文献
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Adding Extracorporeal Shockwave Therapy to Conventional Treatment Improves Pain, Function, and Electrophysiological Function in Females With Carpal Tunnel Syndrome: A Randomized Controlled Trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42332941/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















