この記事の要点
- 日本語タイトル:変形性膝関節症でKT追加は痛みや恐怖心を本当に改善するか?
- 英語タイトル:Effects of adding Kinesiotaping to conventional physiotherapy on pain, function, and Kinesiophobia in knee osteoarthritis: A randomized controlled trial.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis、膝の関節の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)では、膝の痛みと、歩く・立ち上がるなどの機能の低下が問題になります。そのため、運動療法(Exercise Therapy、筋力トレーニングやストレッチなどの運動を使った治療)や、温熱・電気などの物理療法(Physical Therapy、機械や道具を使った治療)といった、いわゆる通常の理学療法が標準的な治療として行われています。
調査の方法(対象など)
この研究は、単施設RCT(Randomized Controlled Trial、ランダム化比較試験:患者さんをくじ引きのようにランダムに2つのグループに分けて、公平に効果を比べる研究)という方法で行われました。通常の理学療法だけを行うグループと、そこにキネシオテーピング(Kinesiotaping、伸びるテープを皮膚に貼って筋肉や関節の動きをサポートする方法。略してKTと呼ばれます)を追加するグループの2つを作り、4週間のあいだ比較しました。
研究の結果
どちらのグループでも、VAS(Visual Analog Scale、痛みを0〜10などの数字で自己評価する方法)で測った痛みや、WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index、膝や股関節の痛み・こわばり・日常生活動作を評価する質問票)、30秒椅子立ち上がりテスト(30-Second Chair Stand Test、30秒間に何回椅子から立ち上がれるかを見る体力テスト)などは、いずれも良くなっていました。
一方で、ANCOVA(Analysis of Covariance、共分散分析:年齢などの条件の違いを調整して、グループ間の差を統計的に比べる方法)という解析では、2つのグループのあいだに明らかな差は見られませんでした。さらに、TSK(Tampa Scale for Kinesiophobia、動くことへの恐怖心や不安の強さを測る質問票)やFABQ(Fear-Avoidance Beliefs Questionnaire、痛みを避けようとして動かなくなる考え方の強さを測る質問票)、階段昇降の成績については、通常の理学療法だけを行ったグループ(CP単独群:Conventional Physiotherapyのみのグループ)のほうが良い結果になる傾向がありました。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究の範囲では、通常の理学療法にキネシオテーピング(KT)を追加したときの「上乗せ効果」は、はっきりとは示されませんでした。また、動くことへの恐怖心や、階段の上り下りといった動作については、KTを足さずに通常の理学療法だけを行ったほうが、良い結果になる可能性も示されています。
実際の診察ではどう考えるか
この結果から考えると、キネシオテーピング(KT)は変形性膝関節症の治療に必ずしも欠かせないものとは言えず、まずは標準的な理学療法をしっかり行うことを優先する、という考え方になります。そのうえで、患者さんご本人の希望や、「テープを貼っていると少し安心できる」といった短期的な安心感などをふまえて、KTを追加するかどうかを検討する「選択肢のひとつ」として位置づける、というイメージになります。
参考文献
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Effects of adding Kinesiotaping to conventional physiotherapy on pain, function, and Kinesiophobia in knee osteoarthritis: A randomized controlled trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42400805/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。


