まず結論:この研究から言えること
腱板断裂の患者さんを調べた研究をまとめると、骨粗鬆症は17.3%、骨減少症は41.9%でした。ただし、年齢や性別が同じ比較対象がないため、一般の同じような人より多いかどうかは判断できません。結果は、研究に参加した人たちの範囲で慎重に受け止める必要があります。
そもそも、どんな問題なのか?
腱板(けんばん)は、肩を動かす筋肉と腱の集まりです。腱板断裂は、肩の動きや日常生活の質に影響することがあります。
骨粗鬆症は、骨が弱くなっている状態です。骨減少症は、骨の状態が通常より低下している状態を指します。
これまでの研究では、腱板断裂と骨の状態の低下が一緒にみられることが報告されていました。しかし、研究によって割合が異なっていました。そこで、この研究では複数の研究結果をまとめ、腱板断裂の患者さんに骨粗鬆症や骨減少症がどの程度みられるかを調べました。
今回の研究では何を調べたのか?
これは、系統的レビュー・メタ解析という研究です。過去の研究を幅広く集め、結果を統計的にまとめる方法です。
腱板断裂の患者さんを対象にした12研究、合計1,413人のデータを調べました。追跡期間は、Abstract(研究の要約)には記載されていません。
介入や治療を行って比較した研究ではありません。主に、骨粗鬆症、骨減少症、異常骨量がどの程度みられたかを評価しました。
何がわかったのか?
骨粗鬆症の統合有病割合(複数の研究をまとめた割合)は17.3%でした。10研究、1,094人の結果です。95%信頼区間は13.4〜22.1%で、調べた集団では、およそ六人に一人にあたる割合でした。
骨減少症の統合有病割合は41.9%でした。7研究、721人の結果です。95%信頼区間は36.3〜47.8%で、調べた集団では、およそ五人に二人にあたる割合でした。
異常骨量の統合有病割合は57.9%でした。これは骨粗鬆症と骨減少症を合わせた結果です。7研究、721人の結果で、95%信頼区間は50.0〜65.5%でした。
これらは、腱板断裂の患者さんを対象にした研究で確認された割合です。年齢や性別が同じ比較対象がないため、腱板断裂のない人より多いとは、この研究からはいえません。
私たちの生活・リハビリにどう関係する?
この研究からは、腱板断裂の患者さんでは、骨の状態も確認することが臨床上重要になる可能性が示されています。ただし、研究は骨の状態の割合を調べたもので、特定の治療やリハビリが有効だと示したものではありません。
肩の痛みや動かしにくさがある場合でも、骨粗鬆症や骨減少症があるかどうかは、症状だけでは判断できません。検査や治療が必要かどうかは、年齢、症状、これまでの病気などを踏まえて主治医に相談してください。
研究でまだわからないこと
この研究には、年齢や性別を一致させた比較対象のデータがありません。そのため、腱板断裂の患者さんで、骨粗鬆症や骨減少症が同等の集団より多いかどうかは判断できません。
今後は、標準化された診断基準と、適切な比較対象を使った比較研究が必要です。今回の対象は、腱板断裂があり、骨の状態を分類できるデータがあった1,413人です。この結果を、すべての腱板断裂患者さんや一般の人にそのまま当てはめることはできません。
Abstractだけでは、これ以外の詳しい限界を確認できません。
Yoリハ 佐藤院長の視点
論文の結果を一人ひとりにそのまま当てはめるのではなく、診察と動きの評価を組み合わせて考えることが大切です。
開院後のYoリハでは、次のような検査や治療を予定しています。院長の佐藤洋一は、日本骨粗鬆症学会の認定医です。骨粗鬆症外来では、骨密度や血液検査、服薬歴、生活背景を確認し、ガイドラインに沿って治療方針を相談できる体制を準備しています。詳しくは「骨粗鬆症外来」をご覧ください。
Yoリハビリ整形外科かわなは2027年4月1日の開院を予定しており、現在は診療・予約を開始していません。
参考文献
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Prevalence of osteoporosis and osteopenia in patients with rotator cuff tears: a systematic review and meta-analysis.
PMID: 42955077
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42955077/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

