この記事の要点
- 日本語タイトル:変形性膝関節症でテレリハと冊子運動は効果が異なるか?
- 英語タイトル:Does physical therapist contact matter? A randomised controlled trial comparing telerehabilitation and booklet-based exercise for knee osteoarthritis.
ここでは、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう:膝の関節の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさが出る病気)の方に対する運動療法について、
「オンラインで行うリハビリ(テレリハビリテーション)」と「冊子を見ながら自分で行う運動」がどのくらい違うのかをまとめています。
専門用語も出てきますが、できるだけかみくだいてお話しします。
研究の背景・目的
変形性膝関節症では、薬だけでなく「運動療法(うんどうりょうほう:筋力トレーニングやストレッチなどで関節の状態を整える治療)」が大切とされています。
最近は、病院や施設に通わずに、自宅でオンラインを使って行う「テレリハビリテーション(telerehabilitation:テレビ電話やアプリなどを使った遠隔リハビリ)」や、
運動方法が書かれた冊子を見ながら自分で行う運動も増えています。
この研究では、テレリハビリと冊子を使った自宅運動で、効果に違いがあるか、そして
テレリハビリの中で、理学療法士(りがくりょうほうし:運動やリハビリの専門職)がどのくらい関わるかが、結果に影響するかを調べることを目的としました。
調査の方法(対象など)
この研究は、1つの医療機関で行われた「ランダム化比較試験(randomized controlled trial:治療法をくじ引きのように分けて、公平に比べる研究)」です。
変形性膝関節症の患者さんを、
・テレリハビリを行うグループ
・冊子を見ながら運動するグループ
の2つに分けました。
どちらのグループも、12週間(約3か月)自宅で運動を続けてもらい、
膝の痛みの程度や、膝がどこまで曲がるかといった可動域(かどういき:関節を動かせる範囲)などを評価しました。
研究の結果
テレリハビリのグループと、冊子運動のグループを比べると、
平均的な膝の痛みの改善や、
WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index:ウェスタンオンタリオ・マクマスター大学変形性関節症指数。
痛み・関節のこわばり・日常生活動作のしやすさを点数化して評価する質問票)の改善は、ほぼ同じ程度でした。
一方で、テレリハビリのグループの中だけで見ると、
理学療法士と連絡を取り、評価やアドバイスなどの関与があった患者さんは、
痛みと膝の曲がる範囲(膝屈曲可動域)がよりよく改善していました。
それに対して、理学療法士の関与がなかった患者さんは、痛みや可動域の改善が一番小さい傾向がみられました。
結論:今回の研究でわかったこと
全体として見ると、テレリハビリと冊子運動の「平均的な効果」は、ほぼ同じくらいでした。
ただし、テレリハビリの中で、理学療法士と実際に連絡を取り合い、評価やアドバイスを受けていた患者さんでは、
痛みや膝の動かしやすさ(可動域)がよりよく改善していました。
このことから、どのくらい理学療法士などの専門職が関わるかが、治療の結果(アウトカム)に影響している可能性が示されています。
実際の診察ではどう考えるか
オンラインでの運動指導を行うときには、動画や資料を渡すだけでなく、
理学療法士が定期的に連絡を取り、状態を確認して評価し、運動のやり方や量についてフィードバックを行うような仕組みが大切と考えられます。
患者さんが一人で続ける形よりも、専門職がきちんと関わる設計にすることが、治療を考えるうえで重要なポイントになります。
参考文献
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Does physical therapist contact matter? A randomised controlled trial comparing telerehabilitation and booklet-based exercise for knee osteoarthritis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42183822/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















