この記事の要点
- 日本語タイトル:VDT由来の首こりは6週間の頸椎PNFで改善するか?
- 英語タイトル:Effect of six weeks of dynamic cervical PNF training on neck disability index in men with video display terminal syndrome: a randomized controlled trial.
ここでは、パソコンやタブレットなどの画面を長時間見る仕事で起こりやすい「首こり・首の痛み」について、リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になる研究を取り上げています。
専門的な内容も出てきますが、できるだけ日常の診察でお話しするような、わかりやすい言葉で説明していきます。
研究の背景・目的
VDT(Video Display Terminal:ビデオ・ディスプレイ・ターミナル/パソコンやディスプレイなどの表示端末)を使う時間が増えたことで、若い世代でも慢性的な首の痛みが問題になっています。
このような首の痛みには、首や肩まわりの筋肉が常に緊張しすぎている「筋過緊張」と、自分の頭や首が今どの位置にあるかを感じ取る力(位置覚:自分の体の位置を脳が感じ取る感覚)の低下が関係していると考えられています。
調査の方法(対象など)
VDT症候群(Video Display Terminal syndrome:表示端末作業に関連した首や肩のこり・痛みなどの症状)のある男性を対象に、くじ引きのような方法で、
・特別な運動療法を行う「介入群」
・それを行わない「対照群」
の2つのグループに分けました。
介入群には6週間にわたって、首の骨の部分(頸椎)を動かしながら行うPNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation:固有受容性神経筋促通法/筋肉と神経の働きを高めて動きを良くするリハビリの方法)のトレーニングを行いました。
その前後で、次のような項目を比較しました。
・NDI(Neck Disability Index:首の障害指数/首の痛みで日常生活にどのくらい支障が出ているかを点数化したもの)
・ROM(Range of Motion:可動域/首がどのくらいの範囲まで動かせるか)
・FRR(Flexion Relaxation Ratio:屈曲時筋弛緩比/首を前に曲げたときに、首の筋肉がどの程度リラックスできているかをみる指標)
・JPE(Joint Position Error:関節位置誤差/首を動かしたあとに、元の位置にどれくらい正確に戻せるかをみる、位置覚の検査)
・VAS(Visual Analogue Scale:視覚的アナログ尺度/痛みの強さを0〜10などのスケールで自己申告してもらう方法)
これらを用いて、6週間の頸椎PNFの前後でどのような変化があるかを検証しました。
研究の結果
6週間のトレーニングを行った介入群では、行わなかった対照群と比べて、NDI(首の障害指数)と痛みの強さが統計的に意味のある範囲で低下していました。
また、首の可動域(ROM)、首を前に曲げたときの筋肉のリラックス具合を示すFRR、首の位置をどれくらい正確に感じ取れるかを示すJPEも改善していました。
このことから、6週間の頸椎PNFトレーニングは、VDT作業が原因と考えられる首の痛みによる機能的な障害を軽くするのに役立つ可能性があると報告されています。
結論:今回の研究でわかったこと
6週間のダイナミック頸椎PNF(首を実際に動かしながら行うPNFトレーニング)を行うことで、NDI(首の障害指数)、痛みの強さ、首の可動域(ROM)、FRR(首を前に曲げたときの筋肉のリラックスの指標)、JPE(首の位置覚の指標)が、いずれも統計的に有意な改善を示しました。
そのため、この方法は、VDT作業が原因と考えられる首の痛みに対して、手術や注射などを伴わない「非侵襲的」な治療戦略の一つとなる可能性があると考えられています。
実際の診察ではどう考えるか
パソコン作業などVDTが原因と考えられる首こり・首の痛みに対しては、頸椎PNFを用いて、首や肩の筋肉の緊張をやわらげることと、首の位置を感じ取る力(位置覚)を同時に整えていくようなリハビリを選択肢として検討してもよいと考えられます。
一方で、この研究は若年の男性を対象としているため、女性や高齢の方など、対象と異なる方に同じ方法をそのまま当てはめるかどうかについては、慎重に判断する必要があるとされています。
参考文献
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Effect of six weeks of dynamic cervical PNF training on neck disability index in men with video display terminal syndrome: a randomized controlled trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42236752/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















