この記事の要点
- 日本語タイトル:中高年の腱板由来肩痛に運動療法は有効か?
- 英語タイトル:Exercise interventions for rotator cuff-related shoulder pain in middle-aged and older adults: a systematic review and meta-analysis.
このテーマは、リハビリテーション(Rehabilitation:けがや病気のあとに行う機能回復のための訓練)や整形外科(Orthopedics:骨・関節・筋肉・腱など運動器を専門にみる診療科)の診察で、よく問題になる内容です。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえてお話ししていきます。
研究の背景・目的
中高年の方に多い「腱板(けんばん:肩の関節を安定させ、腕を動かす役目をもつ筋肉と腱の集まり)に原因がある肩の痛み」は、服を着替える、髪をとかす、物を持ち上げるといった日常動作をしづらくさせます。
その結果、日常生活の質(QOL:Quality of Life=生活の質や満足度)も下がりやすい、という背景があります。
調査の方法(対象など)
この研究では、中高年の「腱板に関連した肩の痛み」がある方を対象にしました。
その方たちに対して、運動療法(Exercise therapy:医師や理学療法士の指導のもとで行う、痛みの軽減や機能回復を目的とした体操や筋力トレーニングなど)が、
①痛み、②肩の機能(どれくらい使えるか)、③肩の可動域(どこまで動かせるか)、④筋力(力の強さ)にどのくらい効果があるかを調べました。
調査の方法としては、ランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial=参加者をランダムにグループ分けして治療法を比べる研究方法)を用いて検証しています。
研究の結果
運動療法を行ったグループでは、肩の痛みと可動域(腕を上げたり回したりできる範囲)が大きく良くなっていました。
肩の機能(どれくらい肩を使えるか)も、中等度には良くなっていました。
一方で、筋力(肩や腕の力の強さ)については、運動療法をしていない場合と比べて、はっきりした差はあまり見られず、短期から中期の期間では効果は限られている、という結果でした。
結論:今回の研究でわかったこと
中高年の「腱板が原因の肩の痛み」では、運動療法によって、痛み・肩の機能・可動域は良くなることが示されています。
一方で、筋力アップの効果は限られており、短期間では大きな変化が出にくいと考えられます。
そのため、筋力をしっかり高めていくには、より長い期間を見すえたトレーニングが大事になる、という点がこの研究の要点です。
実際の診察ではどう考えるか
中高年の腱板が原因の肩の痛みの方を診るときには、まず運動療法で「痛みを和らげること」と「肩を動かせる範囲を広げること」を優先していきます。
そのうえで、筋力トレーニングについては、すぐに強い負荷をかけるのではなく、長期的な計画を立てて、段階的に少しずつ強くしていく進め方が大切だと考えられます。
参考文献
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Exercise interventions for rotator cuff-related shoulder pain in middle-aged and older adults: a systematic review and meta-analysis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42260441/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















