慢性テニス肘に通常リハへBFRT追加で機能回復は向上するか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:慢性テニス肘に通常リハへBFRT追加で機能回復は向上するか?
  • 英語タイトル:Effects of Blood Flow Restriction Training Combined With Conventional Physical Therapy on Pain, Muscle Architecture, Strength, Function, and Psychosocial Outcomes in Chronic Lateral Epicondylitis: A Pilot Randomized Controlled Trial.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく問題になる「テニス肘」に関する話です。
医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、普段の診察でお話しするような言葉で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

慢性外側上顆炎(lateral epicondylitis、いわゆる「慢性テニス肘」:肘の外側の骨がついている部分に痛みが続く状態)では、一般的に高い負荷をかける運動療法が効果的とされています。
ただし、痛みが強い方では、そのような高い負荷の運動を十分に行えないことも少なくありません。
そこで、低い負荷でも筋力トレーニングの効果をねらう方法として、BFRT(Blood Flow Restriction Training、血流制限トレーニング:腕や脚の血流を一時的に少し制限しながら行うトレーニング)が注目されていますが、どの程度効果があるかを示す研究(エビデンス)がまだ十分ではないと考えられています。

調査の方法(対象など)

慢性外側上顆炎(慢性テニス肘)の患者さんを対象に、
1つは通常のリハビリテーションのみを行うグループ、もう1つは通常のリハビリにBFRT(Blood Flow Restriction Training、血流制限トレーニング)を追加するグループに、くじ引きのような方法(無作為化:randomization)で分けました。
そのうえで、両方のグループに対して6週間、医療スタッフの見守りのもとでリハビリを行い、その結果を比較しました。

研究の結果

どちらのグループでも、痛み筋力はおおむね同じくらい改善していました。
一方で、BFRTを追加したグループでは、
・PRTEE(Patient-Rated Tennis Elbow Evaluation:患者さん自身が評価するテニス肘の症状と日常生活の困りごとを点数化したもの)
・Quick-DASH(Quick Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand:腕・肩・手の使いにくさを簡便に評価する質問票)
・FABQ(Fear-Avoidance Beliefs Questionnaire:痛みへの不安や「動くと悪くなるのでは」という恐怖によって活動を避けてしまう考え方を評価する質問票)
・SF-12身体スコア(SF-12 Physical Component:健康関連QOL[Quality of Life、生活の質]のうち、身体面の状態を評価する指標)
といった項目で、より大きな改善がみられたと報告されています。

結論:今回の研究でわかったこと

慢性テニス肘の患者さんでは、
通常のリハビリだけの場合と比べて、そこにBFRT(血流制限トレーニング)を追加すると、
PRTEEやQuick-DASHなどの機能に関するスコア、FABQで評価される「痛みがこわくて動くのを避けてしまう考え方」、そしてSF-12身体スコアでみる身体的な生活の質(QOL)が、より良くなる可能性があると考えられました。

実際の診察ではどう考えるか

痛みが強くて、通常すすめられるような高い負荷の運動がやりにくい慢性テニス肘の方では、
低い負荷でも行えるBFRT(血流制限トレーニング)を通常のリハビリに組み合わせることで、
肘の機能の回復だけでなく、FABQで評価されるような痛みに対する不安や恐怖の軽減も含めて、回復を後押しする一つの方法として考えられる、という内容です。


参考文献

  • Effects of Blood Flow Restriction Training Combined With Conventional Physical Therapy on Pain, Muscle Architecture, Strength, Function, and Psychosocial Outcomes in Chronic Lateral Epicondylitis: A Pilot Randomized Controlled Trial.

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41736376/


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 難病指定医(協力難病指定医)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • テニス

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