大腿骨近位部骨折診療にテレメディシンは有効か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:大腿骨近位部骨折診療にテレメディシンは有効か?
  • 英語タイトル:Applications of telemedicine in the management of patients with hip fracture: a scoping review.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(Rehabilitation、けがや病気のあとに体の機能を取り戻すための訓練)や整形外科(Orthopedics、骨や関節・筋肉など運動器の病気を診る診療科)の外来で、よく話題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、そのつど英語名と日本語で説明を加えながら、できるだけ日常会話に近い言葉でお話ししていきます。

目次

研究の背景・目的

大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ:太ももの付け根にある骨が折れるけが)は、高齢の方に多い骨折です。この骨折をきっかけに、ADL(Activities of Daily Living、日常生活動作:歩く・着替える・トイレに行くなど、ふだんの生活に必要な動き)が落ちてしまい、介護が必要な状態になることが少なくありません。その結果として、医療費や介護にかかる費用が増えやすい病気とされています。

調査の方法(対象など)

Scopus(スコーパス)、PubMed(パブメド)、Web of Science(ウェブ・オブ・サイエンス)という、医学や科学の論文を集めたデータベースを使って、telemedicine(テレメディシン:テレビ電話やスマートフォンなどを使った遠隔医療)とhip fracture(ヒップフラクチャー:股関節まわりの骨折)という言葉で論文を検索しました。その中から、条件に合う23本の論文を選び出し、全体像を整理するスコーピングレビュー(Scoping Review、あるテーマについて発表されている研究を広く集めて、どんな研究がどのくらいあるかを整理する方法)を行いました。

研究の結果

テレリハビリテーション(Tele-rehabilitation:自宅などからオンラインで行うリハビリ)とmHealth(mobile health、モバイルヘルス:スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を使って健康管理や医療支援を行うこと)が、取り上げられた遠隔医療の約6割を占めていました。これらは、患者さんへの教育(病気やリハビリ内容をわかりやすく伝えること)、医療者とのコミュニケーション、退院後のフォローアップ(経過観察)、状態のモニタリング(体調や活動量を見守ること)などに使われていました。対面診療だけの場合と比べると、「効果が同じくらい」と考えられる非劣性(Non-inferiority)から、「より良い可能性がある」と考えられる優越(Superiority)まで、幅のある有効性が示唆されていました。

結論:今回の研究でわかったこと

テレリハビリテーションとmHealthを中心とした遠隔での介入は、患者さんのモチベーション(Motivation、やる気や続けようとする気持ち)を保ちやすくし、リハビリの効果を高める方向に働く可能性があると考えられました。また、退院後のフォローアップをしやすくし、医療費にも良い影響を与える可能性が高いと報告されています。

実際の診察ではどう考えるか

手術のあと、まだ早い時期からテレリハビリテーションとmHealthを組み合わせて使うことで、自宅での運動を続けやすくしたり、転倒リスク(転びやすさ)を把握したりするのに役立つと考えられます。また、対面診察だけでは補いきれない部分を、教育やフォローアップで支える「ハイブリッド運用(Hybrid:対面とオンラインを組み合わせる方法)」が、現実的な選択肢のひとつになりうるとされています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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