VRエクサゲームは凍結肩の痛みと可動域に有効か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:VRエクサゲームは凍結肩の痛みと可動域に有効か?
  • 英語タイトル:Evaluating the Efficacy of Virtual Reality Exergaming in Frozen Shoulder Rehabilitation: A Randomized Clinical Trial.

ここでは、肩が固まって動かしにくくなる「凍結肩(とうけつかた)」のリハビリについてのお話をします。
ふだん整形外科やリハビリの外来でよく出てくるテーマですが、専門用語はできるだけかみくだいて、わかりやすくお伝えします。

目次

研究の背景・目的

凍結肩(Frozen Shoulder/いわゆる四十肩・五十肩の一部)は、肩の強い痛みと関節が固くなる「拘縮(こうしゅく:関節がかたまって動きが制限される状態)」によって、着替えや洗髪などの日常生活に支障が出ることがあります。
従来のリハビリテーション(Rehabilitation/機能回復訓練)は、同じ動きをくり返す単調な運動が多く、痛みも伴いやすいため、続けるのがむずかしい方もいます。
そこで、仮想現実技術を使った「バーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR/専用のゴーグルなどを使って仮想空間を体験する技術)」と、ゲーム感覚で行う運動「エクサゲーム(Exergame:Exercise+Game/ゲーム要素を取り入れた運動)」を組み合わせたVRエクサゲームが、従来のリハビリの代わりや補助になりうるかどうかを調べることが、この研究の目的です。

調査の方法(対象など)

一次性凍結肩(Primary Frozen Shoulder/ほかの病気が原因ではなく自然に起こった凍結肩)の患者さん54名を対象にしました。
この方たちを、コンピューターでランダムに分ける「無作為割付(むさくわりつけ:公平にグループ分けする方法)」というやり方で、VRエクサゲームを行うグループと、従来のリハビリを行うグループの2つに分けました。
6週間にわたってそれぞれのリハビリを行い、その前後で肩の可動域(どこまで動かせるか)、痛み、腕や肩の機能を比較して、どの程度よくなったかを検証しました。

研究の結果

どちらのグループでも、6週間のあとには肩の可動域、痛み、腕や肩の機能が統計的に意味のあるレベルで改善していました。
腕や肩の機能は「DASH(Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand:上肢機能評価の質問票)」という質問紙で、痛みは「VAS(Visual Analog Scale:視覚的アナログ尺度/痛みを0〜10などのスケールで自己評価する方法)」で評価しましたが、これらの数値については2つのグループのあいだに明らかな差はみられませんでした。
一方で、VRエクサゲームを行ったグループでは、肩を前に上げる「屈曲(くっきょく)」と、横から外側に上げる「外転(がいてん)」の可動域が、従来リハビリのグループよりも統計的に有意に良い結果となっていました。

結論:今回の研究でわかったこと

VRエクサゲームは、痛みの軽減や腕・肩の機能の改善という点では、従来のリハビリと同じくらいの効果があると評価されました。
そのうえで、肩を上に挙げる動き(挙上:きょじょう/屈曲や外転の動き)に関しては、VRエクサゲームのほうがより良い可動域の改善がみられました。
このことから、VRエクサゲームは、凍結肩のリハビリにおいて、楽しさを感じながら運動を続けやすくし、肩を上げる動きの改善をサポートする補助的なツールとなる可能性があると考えられています。

実際の診察ではどう考えるか

実際の凍結肩のリハビリでは、従来のリハビリに加えてVRエクサゲームを組み合わせることで、肩を上に挙げる動きの可動域の改善と、運動を続けてもらうことの両方をねらう選択肢になりえます。
ただし、ゲームやVRに対して抵抗がないかといった受け入れやすさや、医療機関側でVR機器などの設備を整えられるかどうかなどをふまえて、導入を検討していく必要があります。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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