ドイツ理学療法でテレリハ導入の障壁と利点は何か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:ドイツ理学療法でテレリハ導入の障壁と利点は何か?
  • 英語タイトル:Barriers and facilitators to telerehabilitation implementation: a mixed-methods study of German physiotherapists.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の診療でよく話題になるテーマです。できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の外来でお話しするような形で説明していきます。

目次

研究の背景・目的

【背景】新型コロナウイルス感染症(COVID-19:Coronavirus Disease 2019、新型コロナウイルスによる感染症)の流行をきっかけに、理学療法(Physiotherapy:運動や手技を使って体の機能回復を目指すリハビリ)でも、テレリハビリ(Telerehabilitation:インターネットやビデオ通話を使って自宅などから受けるリハビリ)が急に広まりました。ただ、ドイツでは「どのくらい使われているのか」「どんな点が妨げになっているのか(障壁)」「どんな点が導入を後押ししているのか(促進因子)」が、まだ十分にはわかっていませんでした。

調査の方法(対象など)

【方法】ドイツで働く理学療法士(Physiotherapist:運動療法などを行うリハビリ専門職)を対象に、2つの方法を組み合わせた調査が行われました。1つはオンライン質問票(インターネット上で答えるアンケート)で、テレリハビリの利用状況や考え方を数値として集めました。もう1つはフォーカスグループインタビュー(Focus group interview:少人数のグループで話し合ってもらい、その内容を詳しく分析する方法)で、実際に感じている困りごとや、うまくいっている点を深く聞き出しました。これらを合わせた「混合研究(Mixed-methods study:数字のデータと、インタビューなどの言葉のデータを両方使う研究方法)」として、テレリハビリの利用率や障壁・促進因子を調べました。

研究の結果

【結果】ロックダウン(Lockdown:外出や営業が大きく制限された期間)のあいだは、テレリハビリの利用率が32.26%まで増えていましたが、2022年10月には18.06%まで下がっていました。一方で、「今後もテレリハビリを使いたい」と考えている理学療法士は全体の約7割とされており、将来の利用意向は比較的高いとされています。テレリハビリの最大の障壁として挙げられたのは、画面越しでは十分な身体診察(Physical examination:触ったり動かしたりして体の状態を詳しく調べること)が難しいという点でした。また、インターネット回線の安定性などの通信環境や、パソコン・タブレットなどの機器が十分にそろっていないことも、心配な点として指摘されました。

結論:今回の研究でわかったこと

テレリハビリは新型コロナの影響で一時的には広く使われるようになりましたが、その後は利用率が少しずつ下がってきているとされています。主な理由として、画面越しでは身体診察がやりにくいことや、通信環境の問題が大きな障壁になっていると考えられています。一方で、セルフマネジメント(Self-management:患者さんご自身が自分の症状や生活を工夫して管理すること)を後押しできるなど、テレリハビリならではの利点もあるとされています。そのため、対面診療とテレリハビリを組み合わせた「ハイブリッド(Hybrid:2つの方法を組み合わせること)」での活用が、今後の重要なポイントになると考えられています。

実際の診察ではどう考えるか

【臨床のヒント】テレリハビリだけで完結させるのではなく、まず初期評価(Initial assessment:最初に症状や体の状態を詳しく確認すること)や、その後の再評価(Reassessment:治療の途中で状態の変化を確認すること)は、できるだけ対面で行う方法が考えられます。そのうえで、運動指導(Exercise instruction:自宅で行う体操やトレーニングの説明)やセルフマネジメントのサポートを、オンラインで補う形にする「ハイブリッド運用」が、現実的な選択肢のひとつとして示されています。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本整形外科学会 認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

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